蝶よ華よ

□第十三章 格好いいひと
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電話をかけて一コール目。


「<もしもし!陸っ?!>」

「うん、久しぶり……か。ごめんね杏」

「<本当だよ!保健室に行ったきり戻ってこなくて……。士都麻先輩や浦嶺先輩たちもいなかったから、一緒なんだろうとは思ってたけど……今、どこにいるの?!>」

「ちょっと色々あってさ、今は職棟にいるの。もえぎさんは気を遣ってくれてさ。……杏、これからもう一回職棟に来てくれる?」

「<うんもちろん!――あ、外出許可もらって今日はそっちに泊まるから!>」

「わかった。待ってるね」


――ピ。




「……。あ、もえぎさんにも伝えないと」


通話が終わってからしばしぼぅっとしていた陸だが、思い出したようにもえぎに連絡を入れた。














「――そっか。士都麻先輩とそんなことが……。で?士都麻先輩たちはいつ帰って来るの?」

「わかんない。向こうは山奥だから電波悪いし、木籐の生家の番号も知らないし」

「そうだよねー。帰って来ても、仲直り出来てないと学校来にくいし」


ぼふん。と杏はベッドに背を預ける。陸は今の言葉に苦笑するしかなかった。……確かに、今のままでは守られる側も守る側も、やり辛い。


「仲直り……か」


(光晴、今頃何してるんだろ……)







「陸。――陸ってほんっと……士都麻先輩のこと好きだよねー」

「え」

「だってさぁ?いくら士都麻先輩が十六年の間陸を待ってた鬼って言っても、自由恋愛なんでしょ?出会ってまだたったの一年だし、周りにイケメンだっていっぱいいるし。それこそ、浦嶺先輩や織部先輩とか?……でも陸はさ、鬼ヶ里(ここ)に来てからずっと――士都麻先輩しか見てないじゃん」

 
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