蝶よ華よ

□第二十一章 疑惑のデート
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(「<今日、陸とデートさせてもらったお礼――>」)



「何やと?!」

「<光晴、声デカい>」


透の衝撃発言に大声を上げた光晴は、はっとして声量を下げる。




「透、どういうことや。ちゃんと説明せぇ」

「<『ちゃんと』?光晴が爆睡してる間、俺と、陸が、何をしていたか――詳しく聞きたいわけ?>」


「――違うわ、ボケ。言いたいことがあるならさっさと言え」


はー、と疲れたように息をついてから告げれば、電話口から小さく笑い声が聞こえた。


「<なんだ、気付いてんじゃん。もっと動揺するかと思ってたよ>」

「透」

「<で、本題だけど。文化祭を寝て過ごすなんて失態が後夜祭の伝説だけで埋められたとか、本気で思ってないだろうね?>」


「え、」


「<呆れた。マジで思ってるわけ……?あのさ、陸に聞けば『埋め合わせなんていい』って言うに決まってんだから、光晴から計画しないでどうすんだよ。――はぁ。主がこんなんで、庇護翼として情けないよ>」


やれやれ、と本気で呆れた様子の透が眼に浮かぶ。


「なんやえらいムカつくいい方やけど、正論じゃ」

「<当然>」

「…………」


意地の悪い言い方ではあるが――光晴を応援していると取れる透に、光晴はずっと聞きたかったことを口にする。





「……透。陸に、云うつもりはないんか?」





(――――!)


「<そんなこと、男に話すシュミはない。……それと、さっき言ったデートのこと全部、嘘だと思ってるみたいだけど……文化祭中一緒にいたのは本当だから>」

「な?!ちょ、」


ブツッ――と通話の終了を告げる音がいやに大きく聞こえた。




「デートて……ほんまやったんか……?!」



 
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