蝶よ華よ
□第二十二章 華鬼の行(ゆき)先
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「結局さ、木籐って何がしたいの？」
文化祭翌日の夕食後――リビングで談笑していた時ふと華鬼のことが話題にのぼり、陸がこう口にした。
「何って？」
「鬼ヶ里に帰って来たって聞いたと思ったら、すぐまたいなくなって。昨日だってそうなんでしょ？……木籐と付き合いの薄い私でも、よくわかんない行動してるってことはわかるよ」
「んー、華鬼のしたいことかぁ……。それって華鬼自身、わかってやってんのかな」
水羽は椅子に寄り掛かり、天井を見上げながら呟く。
「わかっとらんやろ。いっつまでもフラフラしおって……」
「木籐がどこにいるか、探してる途中なんですっけ」
「いるとしたら別荘だという目星はついてるんですが……数が多くてなかなか」
現在の華鬼の行方はさすがの麗二でも手に余る状況だという。
「ここはひとつ、防犯カメラの映像でもあれば早いのですが……」
「麗ちゃん、あんまり足のつくことしたらあかん」
（ヤバいこととか、ほんとにやりそうで怖いよ。先生……）
「華鬼、ほんといつ帰って来るんだろ。いくら“鬼頭”でも、冬休みまでに帰って来なかったら退学になるんじゃないかな」
「まさか。そんな長期間行方知れずってことはないやろ」
「そうだよ。まだ十月の初めだし」
「…………」
「え。有り得るの？」
深刻そうな表情を浮かべる水羽に、陸は恐る恐る訊ねる。
「有り得ないとは、言えない」
「ええ……」
呆れて物も言えない。とはまさにこのことだろう。