蝶よ華よ
□第二十二章 華鬼の行(ゆき)先
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「今年の終業式は十二月十二日でしたっけ?光晴さん」
「せや。鬼ヶ里の冬はごっつ寒いし、雪も深くなるからな」
「そうそう、神無ちゃん。知ってた?ここの終業式の日取りはね、光晴たち執行部が勝手に決めちゃうの。一ヶ月以上休みになるから旅行とか……花嫁のほとんどは帰省するみたいだね」
「そうなんですか。陸さんは、なにか予定あるんですか?」
神無にそう問われ、しばし考える仕草をする。
「うーん、今のところ予定はないね。旅行行くにしても、ちゃんと予定立ててかないと――光晴、すぐ行き先ズレるから」
「う゛、」
じとりと睨まれて、光晴は気まずさから視線を逸らした。
「さすが根無し草!」
「黙っとれ水羽!!」
「事実でしょ。――そんなことより神無、明日から部活に入るんだったよね?」
「そんなことよりって……!え、神無ちゃん部活入るん?」
光晴を適当にあしらった水羽は何気なく神無に話を振り、神無はそれに頷いた。
「へぇ、何部?」
「放送部です」
「土佐塚と一緒に入部するんだよ。……僕が迎えに行くまで部室で待っててね」
「あかん!俺は反対!!放送部じゃどうしたって隙ができる。それやったら執行部の方がマシじゃ」
猛然と抗議をする光晴の頭を陸がスパン!とはたく。
「だッ?!」
「執行部がマシなわけないでしょ。むしろキケンだよ」
「陸……なにもはたかなくてもええやん」
「光晴が馬鹿みたいなこと言うから。今ので頭冷えたでしょ?」
「……ハイ」
向けられた黒い笑みを見て、光晴は二の句が継げなくなる。
「麗二は?反対する?」
「いえ。鬼ヶ里の一年生は部活に入る決まりですし、どの部でも心配には変わりありません。放送部の部長は……まぁ問題ないと思いますけどねぇ」
麗二の了解を得て、神無はほっと息をつく。