蝶よ華よ

□第二十四章 きみを探す
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「三年二組?……って確か、浦嶺先輩?」


首を傾げつつ、答えた杏に首肯する。この広い校内で人探しをすることになって、まず思い付いたのは自分の鬼の庇護翼である二人の鬼だった。


「そう。郡司はこういうイベントに積極的に参加するタイプじゃないし、運が良ければまだクラスにいるかもしれない」

「なるほど。――っていうか、浦嶺先輩なら陸が呼べば来てもえらえるんじゃないの?」

「そうだけど……。それは花嫁を守るためのものだから、簡単には使えないよ」

「大体が緊急時だからね。陸の考えが正しいと思うよ」

「ご、ごめん。私が言うことじゃなかったね」


当事者たちの言葉を聞いて、すぐに杏は自分の発言を反省した。


「ううん、大丈夫」

「杏がからかってるわけじゃないことはわかってるし、気にしなくていいよ。それじゃ、郡司のクラス行こうか」

「「うん」」






気を取り直して三人は人混みの中を進み、目的の三年二組を訪れるが――そこに郡司の姿はなく、隣のクラスに在籍するもう一人の庇護翼・透も同じだった。



「ふたりともどこ行ったんだろ……」



「どこかですれ違ったのかもしれないね」

「携帯も繋がりにくくなってるから、ほんとやり辛い」


嘆息し、水羽は手にしていた携帯をたたむ。


「手がかりなしかぁ。意外とキツいね、これ」

「次、どうしようか……」



「――あれ、もしかして杏ちゃん?」



「! 五十嵐先輩?!」

「え?」


ふと掛けられた声に、陸の隣にいた杏がすぐさま反応して声の主の元へと駆けていく。


「…………」


陸が知る限り、これまで関わったことのない男だった。しかし、杏は男と親しげに話している。


「水羽!あれ誰?!」

「さあ?……男の気配からして鬼だけど。あ、あとハロウィンの組も杏と同じみたいだね」

「!」



(鬼の一族が、まさか……杏と?)



「男の名前は五十嵐 仁(いがらし じん)。クラスは三年三組。鬼の一族ではあるが……血は薄いな。庇護翼もなしだ」

「!!?」

 
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