蝶よ華よ

□第二十四・五章 姫の王子と桃の犬
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≪――それじゃあ、ハロウィンパーティーはじまるよ!≫



そんなこんなで十五分前に強制的に開始された祭り。しかし俺は未だに制服で、目の前にある仮装用の衣装が入った箱を睨みつけていた。


「…………」


シルクだか何だか知らないが、こんなびらびらした服を着る気にはなれない


――が、ここで大きな問題が起きた。









時は十分前に遡る。


いくらふざけた祭りといえど、全校生徒参加であるなら無視して帰ることは出来ない。その考えの元、同じ主に仕える庇護翼のクラスへと向かう。


「おい、透。おま――……」



眼前には、信じがたい光景が広がっていた。






「きゃ〜っ!織部くん可愛い〜!」
「ねぇねぇ、耳触っていい?」
「執行部グッジョブだよね〜」


様々な衣装を纏った女子の中心にいる犬。それは顔が出るタイプの着ぐるみであり、犬の表情は禍々しい殺気に満ち溢れているが、お構いなしに遊ばれている。


その犬――もとい、透がふいにこちらを振り返った。


「げっ、郡司」

「よお」


目があった途端に方向転換し、俺の方へと歩み寄る。


「お前、なんでまだ制服のままなわけ?」

「まずは情報がいると思ってな。透こそ、すぐそれ着たのか?」

「女子に押し付けられたんだ!誰が好き好んでこんな衣装……。っていうか、陸は?」

「まだ」

「はあ?!じゃあこのまま情報収集させるつもり?!」

「仕方ないだろ。お前が悪い」


今の透に凄まれても痛くも痒くもない。なんせ格好が犬だから。


「それより、犬ってなんだ?」

「…………桃太郎」

「!えらく似合わないのに当たったな」

「そういう郡司はなんなわけ?」


「俺はーー「あー!浦嶺くんはっけーん!」


……は?」
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