蝶よ華よ

□第二十五章 十二時の鐘が鳴る
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「ところで、これからどうする。職棟に帰るか?」


「あ、うん。杏と合流してから着替えて……光晴のところに行きたいんだけど。まだみたい」


少し前に送ったメールに返信は未だない。


「どれくらいかかるかわかんないし、郡司は先に着替え行く?」

「ゴールにいるって送ったんだろ?手間だし、後でいい」

「そう?」


(今、陸に保健室の騒ぎに勘付かれたくないしな……)


光晴と同じ部屋に神無の気配はない。何の争いかまではわからないが、特に問題はないだろうと言わずに留めた。









「おーい、陸−っ!お待たせ!」




「お疲れ様ー杏。何位だった?」

「六十一位だってー。ゴール混んでて時間掛かっちゃった。待ったでしょ」

「そんなに待ってないから平気。ね、郡司」

「ああ」

「陸も浦嶺先輩もお疲れ様で――……って、先輩、その格好」


着崩してはいるが元の姿の想像がついたのか、思わず杏は郡司を指差す。



(そういや、杏とは入れ違いだったな……)



「若干装飾は派手ですけど、ワイルドな王子様もアリですね!」

「「え」」


予想とは違う反応に、陸と郡司は揃って呆気にとられる。


「……杏、今何て」

「へ。ワイルドな王子様……え、駄目ですか?」

「……いや、うん。どうも」


郡司は片手で口元を押さえ視線を逸らす。


(意外と、着てみるもんだな)


「郡司ー、耳赤いよ。照れてるー」

「ウルサイ。――ほら、教室行くぞ」

「はーい」

「??」

 
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