蝶よ華よ

□第二十七章 檻の崩壊
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「俺は背後の人物に気付かず倒され――『今までご苦労』と囁かれたのが最後、今に至ります」


話し終わり、その場に沈黙が落ちる。


「他に、覚えとることは」

「まず陸の姿、血のにおいはなかったので外傷はないでしょう。俺のように倒されたのではなく、横たえられた……が正しいかと」

「なんで?」

「相手は郡司と透に害を加えた奴でしょ?これから攫う人に対してそんな扱いする?」

「そうだよ!」


透、風太、雷太が怪訝そうに問う。


「まさか、犯人は陸の知っとる奴ていうつもりか?」


光晴の問いに無言で頷いてみせる。


「「!?」」

「まさか!俺らが庇護についてた間に会ってるってことか?!」

「そんな危険人物を見逃してたとは思いたくない!が……」

「それならすべて納得がいきますね」

「なんで!」

「つまり、こういうことです」


犯人が郡司の言う通り顔見知りの人物なら、陸が異変に遭遇しても瞬時に“助け”を呼ばない。
被害を受けたのが鬼ヶ里に来る前に陸を護っていた二人のみであること。
陸ただひとりを呼ぶことが出来たこと。


「陸はその人物が危険だと思わなかった……ちゅうわけや」



((会ってるならわかるはずだ。記憶を探れ、思い出せ!!))



 
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