蝶よ華よ

□第三十章 さよならまで
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考えれば考えるほど、わからないのは私も同じこと。


お父さんは、とても忙しい人だった。でも、私たち兄妹の節目や行事にはほとんど駆け付けてくれて……優しくて大好きな自慢のお父さんだった。


私を守ることが使命? そう言っているのを聞いたことなんてなかったけれど、あんな形で果たすことを望んだだろうか? きっと望まない。


お父さんに救ってもらったこの身体で私が成し遂げたものなんて何もない。――あの事故で、いなくなるべきだったのは元凶である私のはず。



まったく、おじさんの言う通りじゃないか。



神楽陸に価値は無い。


生まれ持った運命である鬼の花嫁としてだって、私の身体は役に立たなかった。

彼は自分が悪いと言ったけれど、彼の前の花嫁は他の鬼に嫁いで、希少とされる双子を出産し健康に育てたんだから彼に問題なんてない。


子どもが産めない私は、他の鬼に嫁ぐことも出来ず彼をずっと傷付けるだけ。



(――って、これは夢なんだっけ……)



考えの行きつく先は。罪は、償わなくてはいけないということ。

 
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