蝶よ華よ

□第三十一章 あと少し
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ハロウィンパーティーから五日が経過し、鬼ヶ里高校には平常通りの生活が訪れたかに見えた。

神楽 陸が行方不明となった事実に揺れたのはほんの一部であり、ざわつきの大きかった二年八組も主人を失った机に目を向ける者は杏と森園兄弟のほかにいなかった。


(私は、高槻先生や士都麻先輩と話したときに自分にできることをするって決めたけど、陸の捜索はさせてもらえない)
(ただ待つことしか出来ない。そんなの親友失格だよ……)





それぞれに振り分けられた役割はこうだった。

麗二は乱闘のあった保健室の補修と生徒のフォロー。
一樹と拓海は鬼ヶ里の外に出て情報収集。
校内の聞き込みは風太と雷太。双子には杏の護りも任せられている。
水羽はパーティーの後に姿を消した華鬼の代わりに神無の護りを。
郡司はもえぎの監視のもと、職棟の麗二の部屋で安静に。
全快した透は陸の実家周辺の捜索にあたっている。

光晴は職棟に戻らず独断で動いている為所在は不明だが、常に携帯で連絡は取れる状態にすることを麗二が厳命している。


(陸さん本人から電話があったことは、無事を示す喜ばしいことではありましたが、)

(内容が別れの言葉なんて……光晴、きっついよね)


(……今の俺の原動力ってなんやろう。陸との絆?鬼の本能?……違うな、)
(「行ってきます」て出てった陸に、もう一度会いたいだけだーー)


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