蝶よ華よ

□第三十一章 あと少し
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「そう思うのは、もう、俺だけなんやろか?」


呟く問いに答えはない。――代わりに、光晴の携帯が着信を知らせるように鳴った。


「っ!」


即座に画面を見るも、相手は願ったものとは違う意外な人物だった。


「――何の用じゃ、華鬼」

「<今すぐ、俺が言う場所に来い>」

「は?」


唐突な要求に、つい間の抜けた声をあげた。
思えばハロウィンパーティーの最中で起きた乱闘の際オオカミの着ぐるみで参戦していたものの、その後は相変わらず行方知れずの華鬼である。


(“今の状況”わかっとらんのか、コイツ……)


「あんな、今それどころじゃ」



「<時間がない。神楽は死ぬつもりだぞ>」



「?!」


びくり、身体が震えた。


「<一度しか言わない。場所は……>」


しばしの説明、告げられた場所までおよそ二十、否、十分。短いメールをある人物へ送った後光晴は直ぐ様駆け出した。



(――陸!!)







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