蝶よ華よ

□第五章 知られざる真実
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「いやぁな男が狙ってるって言いたいんでしょ!」


麗二の言葉を水羽が次ぐ。


「そうなんですよね……名前は――」

「貢 国一。透が嬉しそうに報告して来たで」


「あぁ、二人とも嬉しそうだったしね……」

「あとは、堀川 響か。なんや嫌な顔合わせやな。陸、堀川 響は二年におる。気ぃつけや」

「うん。顔は見たし、大丈夫だよ」



「堀川君、また学生してるんですか?」



もえぎのその言葉に、視線が一気に集中する。


「もえぎさん、お知り合い?」

「麗二様、言ってませんでしたっけ?私が学生の頃、同じクラスで机並べてましたわよ。少し口説かれましたもの」


知られざるもえぎの過去に麗二は愕然としていた。鬼は何度も入学出来るので、あり得ない事柄ではないのだが……




「おぉ、麗ちゃんが動揺しとる。珍しいのぉ」

「最近ボロボロだよね、麗二」

「せやな。意外に抜け目だらけ」



「聞こえてますよ、お二人さん。……光晴さんだってそうでしょう?」

「は?」

「陸さんが誰に口説かれているか、ご存知ですか?」

「はぁ!?」

「誰や!!」


一瞬で話の方向が光晴と陸に向かい、陸は光晴に詰め寄られる。



「いや、口説かれてないよ!!」

「ほんまか?」

「本当!!」


本当に口説かれていないことを説明して、なんとか光晴を宥めた陸は、麗二をキッと睨む。




「さらりと嘘言わないでください!」

「おや、本当にいないんですか?」

「麗二先生!」

「麗二様、その辺にしてあげてくださいね」

「はい。……ですが、からかい甲斐のあるふたりですねぇ」






「はぁ……」
「なんやえらい疲れたわ……」


動揺して凹んでいた麗二はどこへやら。今となっては光晴と陸の方が目に見えて疲れていた。




「そろそろお食事にしましょうか。そうそう、光晴さん、陸さん。今晩、神無さんをお願いしますね?」
「は?お願い?」
「はい、了解しました」


不思議そうな光晴とは反対に、陸は笑顔で頷いた。もえぎの横では発せられる言葉を予想した神無が、真っ赤になって俯いていた。



「神無さん、泊めてあげてくださいね?」
「お!任せとき!!」

 
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