蝶よ華よ

□第六章 変調
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「――つまり、木籐に襲われた神無ちゃんを光晴が助けて、反撃食らって、保健室に連行された、と?」

「せや」


保健室に来て、説明を受けた陸ははぁ、と溜息をついた。



「なんだ。……麗二先生が変な趣味に目覚めちゃったのかと思った」

「それは心外ですねぇ。いくら私でも、お断りです」

「そんなんは俺もお断りじゃあ……」



「――ごめんなさい」



ぽつりと呟かれた神無の謝罪に、陸がすかさず反応する。


「神無ちゃんは悪くないよ!それに光晴だってピンピンしてるんだから、気にしないで?」

腕の骨にヒビが入っているかもしれない状態が“ピンピンしている”というのかは知らないが、陸の励ましを神無は素直に受け取った。




それから少しして、息を弾ませた水羽が保健室に入って来た。


「ごめん。貢 国一に引っぱられた。……まったく、あいつ何とかならないの!?三翼としてどうあるべきか伝授してやるって、何様だよ!」


いたくご立腹な水羽が拳を握りしめるのを見て、麗二が壁は殴らないでくださいね、と諌め、先手を打たれた水羽は小さく舌打ちをしつつも拳を解く。


「退学させてよ!」

「それは無理やろ。もともと鬼とその花嫁は形ばかりの試験で、下手したら無条件で入学出来るのが鬼ヶ里や。貢辺りの実力者が入学するんなら、学校側は大喜びやん」

「元三翼ですからねぇ……。ほら、もし誰かの花嫁を気に入って求愛したら、事実上はよりよい血が後世に残されることになりますから、むしろ積極的に受け入れるというか」

「一族の存続第一……だっけ」
「まぁ、な」

 
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