中編
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「ここまで来れば大丈夫だろ」
俺達は何とかあのナンパ集団をまいて逃げることに成功したが、はたしてここはどこなのか…
ふと後ろを向くと、沙羅が荒れた息で呼吸していた。
神「ご、ごめん、早かったよな」
あのナンパ集団から逃げるためとはいえ、ずっと全力疾走してたんだ、疲れないわけがないよな。
『うぅん、大丈夫だよ!
ありがと』
そういって沙羅はニコッと笑い、不覚にもその笑顔にときめいてしまった。
神「そ、そうか///」
俺達がちょっといい雰囲気になり始めたとき、遠くからさっきのナンパ集団の声が聞こえてきた。
正直、空気を読んでほしい。
神「とりあえずあの乗り物に乗ろう!」
俺は沙羅の手をとってその乗り物にのって身をひそめた。
『行ったかな?』
「あぁ」
ナンパ集団が行ったかを確かめるために腰を上げて周りを見渡す。
神「え!?」
た、高い!!
この乗り物ってまさか…
神「観覧車…」
遊園地といえば観覧車だが、今は2時ちょっと過ぎ、この時間に観覧車か…
夕暮れ時とかもうちょっと雰囲気がある場面で乗りたかった。
まぁ仕方ないか…
神「!!!!!!!」
俺が心の中で解説しているといきなり背中に重みを感じて振り向くと、なんと沙羅が抱きついていた!
神「どどどどうしたんだ!?////」
なんだこのラブコメ的お約束パターンは!
う、嬉しいけど、心臓が保たない/////
『し、神童くん…私、高所恐怖症なんだけど…』
沙羅が俺の背中に顔をうずめて視界を遮断している。
そういえばこの観覧車したがガラス張りですけすけだ、高所恐怖症にとっては地獄だよな。
後ろの方で沙羅がすすり泣く声が聞こえる。
神「沙羅!大丈夫か!?」
『うぅ…怖いよぉ神童くん』
神「大丈夫だ。俺がついてるから!」
俺は何とか沙羅を泣きやませようと前から抱きしめた。
神「落ち着いたか?」
少し経つと沙羅も落ち着いたようになった。
『うん、大丈夫。ありがと』
神「いや、いいんだ。
元々俺が無闇にこれに乗ったのが悪かったんだし」
『さっきの人達から助けてくれたとき、すごく格好良かったよ…』
神「え、あ、ありがと////」
『それでね』
若干沙羅が俺のシャツを強く掴む。
『私、神童くんが好き』
思いがけない言葉に俺は硬直する。
絶対に俺の片思いだと思っていたのに…
『篤志兄に紹介された時から多分好きだったんだと思う。
別に返事貰おうとか思ってないから!
ただ気持ち伝えたっただけだから…』
神「先に言われちゃったな…」
沙羅は俺の言葉の意味が理解できないのか、首を傾げて目をパチクリさせている。
その顔、可愛すぎだろ!じゃなくて!
神「俺も沙羅の事が好きだ。多分沙羅より先に好きだったよ」
『え…』
神「俺と、付き合ってくれないか?///」
俺が顔を赤らめて言うと、沙羅も俺に負けないくらい顔を赤くして頷いてくれた。
その顔があまりにも可愛すぎて、俺は沙羅に触れるだけのキスをした。
思いが伝わった瞬間の
<ずっと好きだよ><ずっと一緒だ>