がくはいわーるど

□Ballade
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「俺な、今新曲作ろうと思ってん」




「へぇ、どんなの?」




僕とハイド、二人ともオフの日。いつも控え目な彼が自分から連絡をくれた。



僕の自宅にハイドを招き入れ、他愛ない会話をしていたけど、ハイドの一言からアーティストらしく音楽の話になった。




ハイドは歌詞を書くとき、いつもスケッチブックを傍らに置いている。




絵でイメージを膨らませてから曲を作り始めるらしい。

僕は、ハイドのそういうところにセンスを感じる。

無論、僕はハイドの作る曲だけでなく、彼自身も大好き。








「なー、がっちゃん」




「ん?」




「あ、あのさ…」




「何?」




「その…『好き』って言葉、他に表現方法あらへん?」






何故か頬を真っ赤にしながら僕に尋ねてきたハイド。

ハイドも歌詞につまる事があるんだね、なんて思考は一気に吹っ飛んで、いつのまにか彼のこの可愛らしい端正な容姿をまじまじと見つめていた。






「…がっちゃん?」




「あ、ごめん…」




気を取り直して、ハイドにその曲のことを詳しく話して貰った。

でも、聞いてる限りその曲からは、飾らない言葉の方が合っていると僕は悟った。






「うーん…そのままでいいと僕は思うけど」




「そのまま?」




「うん。僕は素直に『好き』って言って貰いたいな」



その時、ハイドをわざとチラッと見てやる。

一瞬きょとんとしたハイドだけど、すぐに僕の意図が読めた様で、顔を真っ赤にさせて俯いた。




「そ…そう、なん」




「誰の事言ってるか解るよね?」




下を向いているハイドの両頬を掴み、ゆっくりと言葉を促す。




「……」




「ハイド、滅多に『好き』って言ってくれないんだもん」




「だって…」




「だって?」













「恥ずかしい…やん」



ハイドがそういう事を普通に言える性格じゃないってことくらい知ってる。


だからこそ、聴きたい。





「ハイド…僕の事、好き?」




「……がっちゃんは?」






ハイドが上目遣いをする時は、甘えている証拠。






「好きだよ…」






「俺も、好き……」






そう言って僕たちはくちづけを交わした。




end…



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