白哉長編

□過去と未来
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夜だ。

























今日は中秋の名月でもないのに、満月が美しい。














一護は、シャタード・シャフトで死神の力を復活させる訓練をしていた。





この日に何が起こるのか。
いろりには分かっていた。
知っていたからこそ、調べた。





『心月狐…』





月の光を糧にして生きる、狐の化身。
あの日、あれが満月と言ったからにはそれだろう。

































外から、古風な話し方の女の声と喜助が話す声がする。



女の声には聞き覚えがあった。
一目散にいろりは玄関に走った。






『待って、喜助さま!』

『いろりサン!?』





そこには、鋭い目の美しい女が立っていた。



『久しいな、八ノ宮いろり。』


『貴方は……名前捨てたんでしょ?あたしが拾ってもいいですか』





『前の主には九十九と呼ばれていた。』







『つづ、ら…ですか?』



『もう1000年も前だな。陰陽道の家元に仕えていた。
その彼がわらわにそう付けてくださった。
それはそれは素晴らしい方だったよ…。』



感慨深そうに月を眺める狐の精。














『九十九さん』
『なんだ。』
















『…あたしの部屋に、どうぞ。』














『ちょちょちょちょっとぉぉぉ!?』




場違いな声が辺りに響いた。



『アタシの家計…』


『問題はない、父上殿。食わずともわらわは生きていける。…こうしてな。』









九十九の真の姿。
銀の毛並みに九尾の、背に人が5人は乗れるサイズの巨大な狐だった。




『不死身ってことッスか。』



『ついでに言えば、おとぎ話の狐のように、人も化かせるぞ。
尾を出すようなヘマはせんが。』






『ねえ、喜助さま…?』


『…いいッスよン♪いろりサンがそういうなら!』




『ありがとう喜助さま!』


















そして、浦原一座(?)には、新たな仲間が加わった。















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