白哉長編

□大切なものに
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いろりの記憶を覚醒させるために彼女を振り捨てた。




その後ろめたさが夜一には苦しかった。








『これでよかったと思うか?』







思わず九十九に問いかけてしまった。



九十九はそんな夜一に優しく笑いかけた。



『そう決めてやったことだ。今更言っても意味はない。
だが、いろりから見た四楓院夜一はそれくらいで弱くなったりしない筈だ。
こっちはこっちのやれることをやるのみ』








そろそろ陽が沈む。
明日はどんな変化が起こって、自分達にどんな影響をもたらすだろうか。

明日もこの夕日が見られるだろうか。


現世よりも綺麗なこの夕日をいろりと共に見られるだろうか。





『…黒崎一護の霊圧が隠れた。
阿散井恋次に勝利はしたものの、深傷を負った…そんなところか。』


呑気に霊圧の分析を始めた九十九の隣で、夜一はそんなことを考えていた。




とは言えど、いろりを深く慕う九十九も、やはり同じことを考えているのだろうか。









『いろりの霊圧が上がったな。
上手く立ち直れたか。よかった。
わらわはもう眠るとしよう…』



九十九が、大きな欠伸をした。





『そうじゃな。上手く立ち直れたのなら…本当によかった。
さて、隠れ場所でも探しに行くか』






二人はその場を立ち去った。
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