白哉長編
□贈り物
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『ほう、もう卍解を習得したのか。
さすが儂の妹じゃのう。地下室に連れて行って3時間しか経っておらぬぞ。優秀じゃな、いろり。』
夜一は満面の笑みでいろりを褒めた。
『おぉ、ここにあったか。
卍解の祝いに贈ろうと思った物じゃ。おぬしならできるとわかっておったからずっと前から用意しとった。受け取るがよい。』
『きれい…ありがとう、義姉さま!』
それは、黒漆に桜の装飾を施してある、手の込んだ造りの簪だった。
早速いろりは、髪を結いあげ、髪に挿した。
その姿に、夜一の驚きは隠すのが精いっぱいなほどだった。
(あの頃と全く変わっとらんな。昔とほとんど変わらぬの。
あ奴があそこまで良い物を選んでいたとは…)
『よく似合うのう。さすがは儂の妹じゃ!』
その姿まで褒められ、頬を染めて頷くいろりの姿は、とても眩しいものだった。