白哉長編

□冩眞の人
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一護の修行は、斬月との戦闘になり、いろりはただただ退屈だった。




そんな暇を粉砕するように彼はやって来た。







『隠れてコソコソ卍解の修行か…
面白そうなことやってんじゃねぇか…俺もまぜろよ』



『恋次…!』




ルキアの連行に来た死神の一人で、副隊長クラスの実力…
一護と一度刀を交えている。

そして、恐らく白哉の部下。



いろりの知識はそんなところだった。


『ルキアの処刑時刻が、明日の正午に変更になった。
だから俺も、少し集中して鍛練する場所が欲しくてな。
安心しろ、てめえの邪魔をするつもりはねえ。
…こっちはこっちで好きにやらせてもらうぜ』











よくわからないが、いろりは哀しい気持ちになった。


白哉は一体何がしたいというのだろう?
『そういえば…あの人は白哉の部下だっけか!
よし、喋りに行くか』








『始めるぜ、蛇尾丸』


『ところがその前に質問するぜ、死神さん』




気合いを入れようとした恋次に、それはそれは綺麗な声のくせにふざけた口調の女の子が呼んだ。

恋次が見上げると、少し遠いところににっこりと笑った死神がいた。




『誰だてめえ邪魔すんな!』



そんな恋次の叱咤を無視して、いろりは恋次の横めがけて飛び降りた。



『取り込み中失礼つかまつりました。
八ノ宮いろり。どうかお見知りおきを』


一転、礼儀正しく自己紹介され、恋次は驚きながらも『阿散井恋次』と名乗った。


『そんな恋次君に質問で………あれ、どうしたの?』



『お前は……もしや』

『………………えっと?』

『いや!こっちの一方的な勘違いでしたすみません!』

『そう、ですか』


『いやいやいや!やっぱりそうだ!
なあお前、朽木隊長とどんな関係だ?』



いきなり当たりを引かれたにも関わらず、いろりは別に驚く様子もない。


『婚約者してます』


と当たり前のようにさらりと切り返した。
あまりにしれっと答えられてしまったので、寧ろ動揺したのは恋次だった。


『やっぱりか!』


『何か知ってること、あるんだね。
でもそれは今聞く事じゃないからいいや。
ところで本題ね。白哉が妹のルキアさんの処刑を進める理由を聞きたいの。
部下視点では、どう映る?』


いつになく真顔で問う。



『俺にもわかんねぇ。貴族としてどうのって考えじゃねーかと思うが…
少なくとも、俺の考えと違うんだ。
だから俺は朽木隊長を倒す為に今こうして修行してる』


相手は白哉との婚約者。
怒り狂ったりしないかと少し不安気にいろりを見る。



だが、いろりは嬉しそうに笑っていた。


『あたしの目の前だからって理由でわざと弱気な事言ったら、その場で惨殺死体にしてやろうかと思ったんだけど。』


恐ろしい物言いに恋次は震え上がった。




『問題ないみたいね。
そう、あたしはね、この争乱の間は四大貴族八ノ宮家の一人娘じゃなくて、ただの旅禍。
だから、今は朽木白哉なんて大っ嫌い。
…そろそろ修行に戻った方がいい。ごめんなさい。長話に付き合わさせて。
そうだ!卍解できたら見せてね。手合わせしてほしいの』



『おう!楽しみにしてるぜ!』




『さっさと終わらせてね?こっちも楽しみにしてるから』





いろりは、自分の鍛練のため、別の場所に移動した。
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