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「ユースタス屋ぁ」
「んー?」
「え っちしよっか」
「、は?」


交わす挨拶のように。まるで自然に飛び出してきた言葉が鼓膜を叩くその衝撃を、こちらも危うく自然と受け流してしまいそうになって踏み止まる。


「な、なんつった?」
「その若さで難聴か?可哀相に。え っちしよっか」
「よし、オレの聞き間違いじゃあ無かったみたいだ。バカかお前」
「バカじゃねぇよ。ご存知トラファルガーだ」
「はいはい」


むくれているトラファルガーを他所にして今回は一体全体何がコイツをソノ気にさせるに至ったのか。原因探して視線をあちらこちらへとさ迷わせる。

それはいつも唐突に全く何の規則性も無く訪れる欲情。ある時は暇潰しのカードの最中であったり、ある時は何気ない会話の最中であったり。
全く何の脈絡も無い平生の何処から見付けてくるのか知れないが、欲情へのスイッチが急に切り替わるその瞬間が未だに謎過ぎる。

そんで、今回は?っていう現在。いや、でもまぁ今回もきっとオレには理解できない気がするから、まぁいいか。


「なぁユースタス屋ぁ、え っちしよーよぉ」
「…今朝方までしただろうが」
「またシたくなったの」
「発情期かよ」
「ん。かもしんない」
「…まだ真っ昼間なんですが?トラファルガーさん」
「俺の隅々まで魅してやるよ」
「……」


「だから、ね?」なんて。窓から零れる陽射しの中で首を傾げるその気怠い様もどこか艶めいて見えるオレも実はコイツの事を言えた立場には無いのかもしれない。( なんて認めない。認めたくない )

溜息一つ吐いて、結局は今日も抗えずにベットへと沈むオレにこそ、溜息を吐いてやりたくなった。








「っはぁ、ン」
「…おい」
「あ、ぁん、っ、ふ、な、に?」
「浅く揺らしてんじゃねえ」
「は、ぁ?」


宣言通りと言うか。
確かに隅々まで見つめる事の出来る騎乗位で差し込む陽射しを浴びながら腰を振るトラファルガーを見上げるのは中々にクるものがあるが、いかんせんトラファルガーの腰は浅い所で揺らめいて、どうしても焦らされるような刺激しか受け取れない。

無意識なのか、「何言ってんだ?」みたいに首を傾げるトラファルガーの細い腰をがしりと掴んで突き上げる。


「っひ、ぁ、ぁあん!!」
「ほら、もっと奥まで入るじゃねぇか」
「っあ、あっあ、きっ、ど。だ、め」
「あ?」
「突き、っ、あげちゃ、ぁ、い、やぁ、ンんっ」


頭(カブリ)を振ってぽろぽろと涙を零すトラファルガーに沸き起こる加虐心を持て余す。

まんまと誘われて満更でも無くのめり込んでしまっている自身の流され易さには全くどうしたものか。いや、流され易さ以前に、訳の分からない所で切り替わるコイツの欲情スイッチをどうにかしなければ、どんなに自身を律した所でそれは無駄なような気がしてならない。

不図、腰にあてていた手を滑らせて、目に見える筈も無いそのスイッチを探すようにトラファルガーの身体を撫でた。


「きっ、ど?」
「ここか?」
「っぁんっ!!」
「違うよなぁ」
「っひ、ン、あっ」
「じゃあ、…こことか?」
「ぃっ、は、ぁ、ふ、ぅン」


胸元でつんと天を向いた二つの薄紅をこりり、と摘み上げた手をキッドの自身を食(ハ)んでいる蕾を隠す二つの滑らかな丘へと下ろしてきゅっと両の手に握ればあがる嬌声に唇を吊り上げる。


「何処に隠してんだ?」
「あ、っひ、ン、な、んの、っぁ、こと?」
「スイッチ」
「すい、っ、ち?」


不思議そうに首を傾げるトラファルガーを見上げて、未だ心地良い胎内にある自身が張り詰めたままで埋まっているのを確認するように、ゆぅるりと緩慢に円を描いた己の腰付きに合わせてあがる高い悲鳴を聞きながら、オレも満更じゃねぇし、まぁいっか。と、随分投げやりになっている思考のせいにして、昇り詰める快感目指して唇を開く。


「あぁ、もしかしたら」
「は、っん、?」
「ここ。かもしれねぇよな」
「っ!!、ぁ、あっあっ、あぅ、ン、んンっぅ、き、ど、っきっ、ど!!!!」


ぐちゅりぐちゅりと響く水音も、陽射しの中に飛び散る白濁の鈍ついた輝きも、赤く色付いた目尻を濡らす涙も全てが官能的な中で、


「あ、っあん、や、だ、めぇ、だ、め!!」
「何が?」
「イく、イッちゃ、ぁうん。っは、ぁ!!」
「イけよ」
「や、やぁ、」
「イっちまえって、ロー」
「っ!?、ぁ、ぁ、っああ、あ、っあぁあんっ、っ〜〜」
「っく」


熱く凝縮する胎内へと飛沫を注ぎ込みながら、焼かれる脳髄の片隅で、困った顔をした己が指差す先に、捜し求めたコイツのスイッチを握り締めて悪い笑みを浮かべるもう一人の姿があまりにも見慣れた自身の顔なのにはもう、重たい溜息を零して諦めるしかないと悟った。



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