立海

□Sweet(甘)
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「まーったく張り切りすぎだってば、名前は!」

「だって、一週間待ったんだよ!?今日こそは、絶対成功してやる!」

「あーはいはい。応援してますよー」



今日の3校時目、4校時目。

私がずーっと楽しみにしていた…家庭科の時間。



今までは、家庭科の授業なんて、ちっとも楽しみじゃなかった。

楽しみになることなんて、ないと思ってた。

理由は簡単。

私は料理が、大の苦手だから。



調理実習は、小学校の頃から経験してる。

だけど、目玉焼きを焼けば焦げて。

味噌汁を作れば薄くて。

上手く作れた例なんて、一度もない。



もう嫌だ。

家庭科の調理実習なんて、大嫌い!



ずっと、そう思ってきた。





でも、そんな私がこんなにも"調理実習"でハイテンションになってるのには原因がある。

その原因が…





―…私の彼氏、丸井ブン太。







あれは、先週の事だった。



先週の家庭科の時間、先生が「来週は調理実習をしますよ」って言って、クラスの皆で計画を練った。

その事を、ブン太に話したんだ。

ちなみに、私とブン太のクラスは違う。

そしたらブン太、目を輝かせて



「マジ!?じゃあさ、俺に作ってくれよー」



って。



「え!?無理無理無理!私がどんだけ料理下手だと思ってるの!?」

「いいだろい?名前が何か作ってくれたのなんて、一回もねーし…」

「うっ」



そう言われて、確かに…と思った。

私の誕生日とか、クリスマスとか…事あるごとに料理を作るのはブン太の方だった。

私はと言えば、ブン太の誕生日にはプレゼントを贈ったりするけれど、料理を作った事なんて一度もない。



これは彼女として…いや、それ以前に女としてヤバいんじゃないか。

そう思った瞬間、急速に"ヤル気"が湧き上がってきた。





よし!

次の調理実習は何としてでも成功させて、絶対ブン太に喜んでもらうんだ!







それから一週間が経ち、今日になったという訳だ。









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