立海

□Sweet(甘)
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「準備物は持って来ましたね?それでは、各自始めてください」



先生の言葉で、調理実習がスタートした。

実習は2人以上の自由なグループ単位で行う。

だから私は、友達*名前と2人で作ることにした。



「じゃあ、始めよっか?」

「うん!」



作るメニューは、クッキー。

もうあれだよね、クッキーと言えば。

彼女が彼氏にプレゼントするお菓子の王道ではないか!



「最初は生地作ろうか。名前は見ててもいいよ?」

「いえ、やります!」

「ほんっとに大丈夫?」

「勿論!」

「…じゃぁ、一緒にやろうか」



いつもは見ていることが多かった私だけど、

今日は積極的に参加した。

生地を作って、型を抜いて、丸めて。

作ってる途中、ブン太の顔を思い浮かべながら。



料理って楽しいじゃないか!?



ついに全てを丸め終わって、何だかそう感じた。



「じゃぁ、あとはオーブンに入れて焼くだけ。それは名前、出来るよね?」

「勿論!任せてっ」



焼きあがれば、ついに完成だ。

私はわくわくしながら、クッキーをオーブンに入れた。











*****






「名前!クッキーは!?」

「へ?」

「オーブンから出した?」

「わっ、忘れてた!」

「ちょっ、もうとっくに焼きあがってるよ!?」

「ごめんっ、今取り出してくる!」

「バカー!!!」



私と友達*名前の間でそんな会話が交わされたのは、クッキーをオーブンに入れて、かなりの時間が経った頃だった。






 *****














「それでは、今日の授業はこれでおしまい。ご苦労様でした」





家庭科の授業が、終わった。



私も、終わった。





手にはキレイにラッピングしたクッキー。

でも、中身は最悪。

真っ黒こげ。





「はあ…」

「名前、次があるよ」



本日何度目かのため息をついた私に、友達*名前はそう言ってくれた。



「でも…」

「丸井くんも、きっと喜んでくれるって」

「こんな黒こげ?」

「う…うんっ、き、きっと喜んでくれるよ!」

「はあ…」



これじゃ、ブン太に合わせる顔がない。









だけど昼食中…私の携帯には、ブン太からのメールが入った。



《今日調理実習あったんだろい?楽しみにしてる!》



…こりゃ、やっぱり行かなきゃマズい。

お弁当を食べ終わってから、私は意を決して、ブン太のもとへ向かった。









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