短編 -other-

□本気(白石/ほのぼの/「あの夏」の続き)
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 そして時間はあっという間に過ぎて、日曜日になった。





 私と美里は近くの公園で待ち合わせしてから、電車を乗り継いでテニスコートに向かった。





 電車の中で、たくさん話した。


 四天宝寺のテニス部・・・すごく強いらしい。

 楽しみだな、って思った。



















 テニスコートにつくと、すでに観客はいっぱい。


 だけど美里はすい、すい、と人の間をぬって、一番前まで来た。

 ここならよく試合が見れる。


 私たちは、わくわくして試合開始を待った。

















「おっ、始まるで」




 美里が言うのとほぼ同時に、選手が入場してきた。






「あっ・・・」





 急に声を上げた私を、美里が不思議そうに見る。





「どないしたん?」

「白石・・・」

「あぁ、白石?白石部長やっててん、多分一番強いわ」

「へー、そうなんだ!」







 列の先頭に立って、歩いていく白石。

 その姿を見つけて、びっくりした。















 あの日から白石とは、前よりは話すようになった。

 けど、そんなことまでは知らなかった。





 そう言えば初めて会った公園で、テニスラケット持ってた。

 部活が休みになったとかなんとか・・・

 だけど、やっぱりまさか部長だなんて、思ってもいなかったよ・・・



















 それから挨拶を交わした後、ゲームは始まった。

















 え、すごい―――





 びっくりした。





 四天宝寺は本当に、“上手い”。

 ダブルスの2人もすごい息ぴったりだし、シングルスのあの人は超足早いし・・・


 美里が隣でいちいち説明してくれたから、すぐに名前を覚えた。

 小春くん、ユウジくん、謙也くん、千歳くん・・・






 四天宝寺があっというまに3勝ストレートで、四天宝寺の“勝ち”になった。



 でも一応練習試合だから、5戦全部やるみたい。

















 4戦目も余裕で勝って、いよいよ最終戦。

 白石の出番だった。









「白石ぃ〜〜〜、勝たなぶっとばすで〜〜〜!」





 いきなり美里が叫んだ。

 その声にぎょっとした感じで、白石がこっちを向く。

 そして美里、私を見ると、にっこり笑った。




「分かっとるわ!」


 白石がそう返してからすぐ、両者は挨拶を交わして位置についた。。



 相手は銀華中の部長、福士・・・ミチル?


 銀華中の中では、1番強いみたい。





 部長対決か〜・・・白石、勝って欲しいな。














 白石が高く上げたボールをラケットで打ち込んで、試合が始まった。


























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