氷帝

□君と歩く帰り道(シリアス甘)
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「な・・・何でお前、またここにっ」

「へへっ、来ちゃった☆一緒に帰ろうよ!」

「“来ちゃった”じゃねぇ!!」
















 俺は今、目の前にいる1つ年下の名字 名前に向かって、大きな溜め息をついている。











 名字 名前―――――




 明るくて、ちょっとどこか抜けてる所がある、俺の幼なじみ。

 名前とは『家が近い』って理由で、小さい頃は随分遊んだもんだ。


 ま、それは小学校までの話で、中学校に入ってからは全然遊ばなくなったけど。




 それなのに、なぜか名前は最近、部活が終わる頃にテニス部の部室で、こうして俺を待っている。

 今までに何回かは一緒に帰ったけど、それはあくまで偶然2人の下校時間が合えばの話で・・・



 こうしてどっちかが待ってるなんて事は1度もなかった。








「おっ、名前ちゃんやないか〜」

「あーん?また名前か・・・てめぇも毎日あきねぇもんだなぁ」

「あ、忍足先輩、跡部先輩!どうも」



 名前に話しかける忍足や跡部に向かって、名前もにっこりと笑う。

 すると今度は、その笑顔を俺に向ける。




「亮、早く着替えして帰ろ?」

「だから、何でだよ・・・お前、友達とかと帰ればいいだろ?」

「えー、いいじゃん!亮とはどーせ家近いんだし!ほら、早く着替えて!」

「ったく、しょーがねーな」



 軽く舌打ちしてから部室に入る。


 後ろで忍足や向日が「モテモテやないか〜」「宍戸も隅にはおけねーな」なんて言ってやがるが

 無視、無視・・・

















「おら、行くぞ」






 着替えを終えた俺は、部室の前で待っている名前に声をかける。


 名前は下を向いて地面にしゃがみこんでたけど、俺がそう言ったとたんにパッと俺の方を向いた。



「着替え早いねー」

「いつもこんなもんだろ」

「そうだっけ?」






 俺が歩き出すと、名前は俺の歩幅に合わせようと、必死についてくる。



「亮、歩くの早いってば〜」

「別に好きで帰ってんじゃねーんだから・・・しょーがねーだろ」

「冷たいなぁ。昔はよく遊んでた仲なのに・・・」







 そう言うと名前は、わざとらしくはーっと息をつく。








「だいたい、何で急に一緒に帰るなんて言い出すんだよ?今までは友達と帰ってたんじゃねーのかよ?」

「ん・・・まぁ、ね」

「何か俺に言いたいことでもあんのかよ?」

「いや・・・別に・・・」

「じゃぁ、何で?」

「・・・ただ、最近亮に会ってないなーって思ったら、一緒に帰りたくなっただけだよ♪理由なんてそれで充分でしょ?」

「はぁ・・・ったくお前は・・・」






 昔から変わってねーな。



 昔の名前も単純で、自分が思ったことはすぐに行動に移す奴だった。

 それが、俺が中3、名前が中2になった今でも変わってないとはな・・・


































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