氷帝

□君しか知らないプレゼント(ほのぼの)
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「名前、お誕生日おめでとう!」

「ハッピーバースデー」

















 今日は、私の誕生日。


 色んな人から「おめでとう」をもらった。












 誕生日って、無条件に嬉しくなる。

 今日も皆からもらった、メールや電話が嬉しくて。













 そんな時だった。






















       ガコン



























 ポストに、何かが入れられた音がした。





 何だろう・・・?

 手紙か何かだろうか。

 親も仕事でいないから、私は玄関のドアを開けて

 ポストの中身を確認した。

















「あっ・・・」

















 思わず、声が出てしまった。




 ポストの中には、小さなびんに入った天然石。


 私がずっと欲しかったものだ。







 その小びんをポストから取り出すと

 それと同時にポロリと髪が落ちてきて、慌ててそれも手に取る。





「手、紙・・・?」





 2つに折られたそれは、どうやら手紙のようだった。

 開いて、中の文字に目を通してみる。



















“誕生日おめでとう”



















 えっ、それだけ!?

 思いのほか短い文章に、少し拍子抜け。


 にしても、誰からだろう?

 差出人の名前もないし・・・










 あれ・・・待てよ。



 どうしてこの人、私が天然石欲しかった事、知ってるんだろう?

 だってこの事は・・・




 ・・・・・・まさか!








 ひらめきと共に、自然に口角が上がるのが分かった。




 もし私の推測が正しければ・・・



 ・・・ううん、絶対に正しいはずだ!




 携帯電話を取り出して

 よく知った番号をプッシュする。

 数秒後に聞こえる、聞きなれた声。







「はい」


「名前だよ!プレゼントありがとう――――・・・
















                    ・・・――――亮!」
















 電話の相手は、同じクラスの宍戸亮。


 そしてあの小びんをプレゼントしてくれたのも・・・


 多分、亮。













「はぁ?」

「ポストの小びん!アレ、亮がプレゼントしてくれたんだよね!?」

「ばっ、ちげぇよ!何のことかさっぱり分かんねぇ・・・」

「嘘だっ!私があれ欲しいって言ったの・・・亮だけだもん」


















 前に亮と2人で帰ってた時に、ショーウィンドーに飾ってあった

 天然石の小びん。



 私は思わず“キレイ!欲しいなぁ〜”なんて言っちゃったんだ。

 それを、覚えててくれたなんて。

 あんなちっちゃなことだったのに・・・
















「何だよ・・・俺だって分かってたんなら聞くなよな・・・」

「ふふふ・・・」

「・・・んだよ」

「亮、ありがと!」

「べ、つにっ」














 そう言った亮が、なんだか可愛くて。













「亮」

「何だよ」

「何でもない♪」

「はぁ!?」



















 今はまだ言ってやらないんだ。







 でもね




 新学期が始まったら・・・

 その時は、言おうかな。






















 私は、亮のことが大好きなんだってね!

























END

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