立海
□流れ星(切甘)
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流れ星なんて、そうそう見れるもんじゃない。
ましてや、同じ流れ星を
好きな人となんて――――
“今日は残業があるので、帰るのは夜中頃になります。
ご飯は用意してあるので、温めて食べてください。
今日もお疲れ様。勉強頑張ってね。おやすみなさい”
学校から帰れば、テーブルには、見慣れたメモ。
私の両親は、正午から夜中までという時間帯で仕事をしている。
だから朝は会えるけど、夜は会えない。
夜の1人での食事も、もう慣れた。
夜ごはんを食べて、机に向かう。
私はこれでも受験生。
受験勉強、しなくちゃね。
冬の日は短い。
あっという間に日は落ちて、あたりは暗くなった。
カーテンを閉めて、勉強を続ける。
その時だった。
〜〜〜〜♪
携帯の着信音が鳴った。
ディスプレイを見た瞬間――――
ドクン、と心臓が跳ねた。
あわてて通話ボタンを押して、携帯を耳に当てる。
「はい」
『・・・名前?』
「ブンちゃん!」
電話の向こう側の相手は、同じクラスのブンちゃんこと、丸井ブン太だった。
ブンちゃんとは、以前席が隣になってから、よく話すようになった。
隣の席で毎日話しているうちに・・・
自分の気持ちに、気がついた。
私、ブンちゃんを“好き”なんだな・・・って。
最初は黙っていようと思ってた。
だけど、その気持ちは膨らむばかりで―――――・・・
これ以上、隠しきれない。
そう感じて、決死の覚悟とともに、告白。
結果は――――
嬉しくて嬉しくて、涙が止まらなかったのを覚えてる。
そして今は
お恥ずかしながら、付き合って、いる。
「それでブンちゃん、どうしたの?」
『名前、今・・・外出れる?』
「外?」
時計を見れば、8時。
丁度勉強も行き詰ってきていた頃だ。
私は、2つ返事でOKした。
『んじゃぁ、あと5分後に家でてくんねぇ?俺、名前ん家の前行くから!』
「分かった」
電話を切った後、パタン、と教科書を閉じた。
これから、ブンちゃんに会える・・・
いつもは会えない時間に、だ。
そんなことを思うだけで、わくわくしてくる。
こういうとき、いっつも思う。
あぁ・・・私本当に、ブンちゃんが好きなんだ。