妄想小説 短編
□夏祭り
1ページ/2ページ
「ちょっと早かったかな」
蔵馬は時計を見る。
約束は6時。
時計の針は5時半を指している。
「早すぎだな」
微笑がこぼれる。
君に夏祭りに行こうかと誘った時、満面の笑みを見せてくれたね。
まだ友達の関係だけど、今日で友達は終わりにしようと思うよ。
君に気持ちを告げたら、どんな顔をするかな。
驚くだろうな。
自分がこんなに弾んだ気持ちになるとは思わなかった。
信号の向こうで君が手を振るのが見えた。
君も早く来すぎだよ。
君が来たら、聞いてみよう。
「河嶋さん、手をつないでいい?」
そして
「香って呼んでいいかな?」と。
END