妄想小説 短編
□誕生日プレゼント
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「南野くん、今日委員会の仕事できる?」
クラスの河嶋さんが声をかけてきた。
委員会というのは、あまり仕事のない図書委員だった。
たまにある仕事は新刊のお知らせとかのプリントを印刷して配布する程度だった。
「珍しいですね」
「南野くん、先月の委員会休んでて出られなかったでしょ?だから仕事が回ってきちゃったのよ」
そういえば、先月は出なかったな。
仙水とか魔界とかで忙しかったからな。
「そういえばそうだったかも。
あれ?河嶋さんも出なかったの?」
「あたしも風邪ひいちゃって休んじゃったのよ」
河嶋さんはそう言ってタメ息をついた。
「でも、そんな大した仕事ないでしょう?」
そう言って河嶋さんを見ると、河嶋はがっくりと肩を落とした。
放課後、図書室に行くと、担当教諭が山積みになった本の前でにっかりと笑った。
「じゃあ、本の修繕頼んだぞ」
それだけ言って、俺たち二人を残して出ていってしまった。
なるほど。
「これは肩も落としたくなりますね」
河嶋さんはまたタメ息をついていた。
「せっかく仕事が少ない委員会だと思ってたのに…」
「同感」
そうは言っても、始めないと終わらない。
「じゃあ、がんばりますか?」
そう言うと、河嶋さんは力なく、はーいと返事をした。