妄想小説 短編

□jealousy
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香は相変わらずだった。

クラスでは目立たないようにしながらも、決して悪い印象は持たれないよう過ごしている。

俺にもあの日のことが無かったかのように、いつも通り接してくる。


女の子はわからないな。



その時、香に話しかける声が聞こえた。


「河嶋さん、ちょっと話があるんだけど…いいかな?」



これは…?
もしかして…?
あれか?


「話?なに?」

香は素っ気なく聞き返す。

香…男心がわからない奴だな。


「あー…、うん。まあここでいいか。
あのさ、俺と付き合ってもらえないかな?
2年の時から好きだったんだよ」


おいおい、こいつもなんだかチャレンジャーだな。

クラスメートが囃し立てる。
俺は二人を見ないようにした。
好きだと言われた香がどんな顔をしてるか、知りたくなかったから。



周りが囃し立てるが、本人の声は聞こえない。


何故何も言わない?

あの日、お互い好きだと思ったのは俺だけだったのだろうか。

冷静を装うが、心中穏やかではいられない。

彼女の口から早く断りの言葉を聞きたかった。



その時、チャイムが鳴った。


「あ、じゃあ。返事…待ってるから」

そう言ってチャレンジャーは出ていった。

彼女はどんな顔をしているのか。
知りたいような。
知りたくないような。



その日は1日中、彼女のことを見れなかった。
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