妄想小説 短編

□サキヨミ
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ある日自分に不思議な力が生まれたことに気がついた。

何となく人の次の行動が読めるようになった。
最初は2〜3秒先がわかる程度だった。
例えば、右に避けるなとか、転ぶとかその程度。
だけど今では24時間以内までわかるようになった。

最初は全ての人の行動が頭に入ってきてうるさい感覚だったけど、今では自分が知りたいと思った時だけ使えるようになった。


でも、実際そんな力必要なことなんてあまりないし、人のプライベートにも興味はないし。
授業中当てられるかどうかくらいしか使ってなかった。



ある日、友達が恋愛相談をしてきた。
放課後、告白をしにいくと言っていた。

たまにはあの力使ってみようかな。

そう思って、友達に集中してみた。

5時間後くらい、男と笑って歩いている友達が見えた。
良かった、うまくいくみたい。

「きっと上手くいくよ。大丈夫」

そう言って笑った。


ふと視線を感じて後ろを振り返る。
…でも誰も見ていない。

後ろにはクラスメートが何人かいるだけで、いつもと何も変わらない。



何だったんだろう?



「香?どうしたのー?」

友達の言葉に顔を戻す。

「あ、いや。何か見られてる気がして…」


「そう?気づかなかった」

友達は大したことないかのように、また恋愛相談を続けた。





放課後、隣のクラスの男の子に声をかけられた。

確か…南野くんって言ったっけ?
クラスの女子がかっこいいとか言ってたっけ。
なんでそんな人が?

ちょっと気になって、南野くんのちょっと先を見てみたくなった。
集中し始めたその時。


「河嶋さん、あまり力を使わないほうがいい」


南野くんの言葉に体が固まる。


力?
あの力のこと?
なぜ、南野くんが知ってるの?


驚きを隠せなかった。

「…知ってたの?」



「今日、休み時間に力を使っただろう?
それで気がついた」


南野くんはそう言ってから、ふっと笑った。


「そんなに怯えなくてもいいよ、ただ忠告に来ただけだから」



「…この力を使うと何か影響があるの?」


ずっと疑問に思ってたことを聞いた。
本当は悪い力で使うと命が削れるとか、そういう不安がなかったわけではない。


南野くんは少し考えて言った。

「君の能力の種類にもよるかもしれない。俺の知り合いは使い方によっては命をおとしかねない能力を持っている」



知り合いの力?
私以外にも変な力を持っている人がいるの?


「…詳しく聞きたいんだけど。…だめ?」



あまりにも真剣な顔だったのかもしれない。
自分の中ではかなり切羽詰まった気持ちだった。
南野くんにも伝わったのか、仕方ないという表情でわかったと言った。
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