妄想小説 短編

□サキヨミ 3
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「あー!香?ちょうどよかった!
ママね、さっき仕事でトラブルあったって連絡きてね、これから大阪まで行かなきゃいけないのよ。
下手したら3日くらい帰れないかもしれないから、家のこと頼むわよ!
あと、遅くなるのはいいけど、南野くんに迷惑かけるんじゃないわよ」


ママはすっかり南野くんを信用してるみたい。
娘よりも。
ママの電話のあと、南野くんと学校を出た。


結局雪菜ちゃんちに着いたのは、7時半を過ぎていた。


「香ちゃん、よかった来てくれて」


玄関で雪菜ちゃんが熱い抱擁をしてくれた。
なぜかちょっとドキドキしてしまった。



「…かわいいな」

小さく呟いただけだったのに、南野くんはしっかり聞いてたみたいだった。

「俺のライバルは男だけじゃないのかな?」

そう耳元で囁いて笑った。

「かもね」

そう言い返すと、また笑った。



リビングに入ると、なんかたくさん人がいる。


「お、来たなー!」
「あらまあ、この子が蔵馬の彼女かい?」
「へー、蔵馬さんやるぅ」

なんか口々に色々言われて固まってしまった。


とりあえず、いきなりコップ渡されて乾杯して、真ん中に座らされてしまった。

「え、えと…?」


困惑していると、静流さんが近づいて教えてくれた。


「蔵馬くんの彼女お披露目パーティだよ。
雪菜ちゃんがね、香ちゃんと仲良くなりたいって言って、仲間集めたんだ」


「俺も、河嶋さんを仲間に紹介したくって。
びっくりした?」


みんな笑顔で、私のことを歓迎してくれてるのがわかる。


「嬉しい…、あたし友達少ないし、ってか一人しかいないし…。
まだほんの少ししか知らない私に、こんなに良くしてくれるなんて…。
嬉しい、ありがとう」


感激のあまり上手く話せなかったけど、みんなちゃんと聞いてくれた。


「蔵馬が選んだ子ならいい子に決まってるぜ」
「そうだよねえ」
「じゃ、飲みますか!!」


そう言うと、みんなたぶんお酒を飲み始めた。


あたし、お酒飲んだことないんだけど…。
でも、明日休みだし。
ちょっとなら大丈夫だよね…。
南野くんも、雪菜ちゃんも飲んでるし…。


みんな未成年なのにいいのかな…。


ちょっと迷っていると、ぼたんさんが近づいてきた。

「おや、主役はお酒は苦手かい?」


「あ、苦手かどうか…。飲んだことなくて…」

私の言葉に、静流さんが違うお酒をくれた。


「これなら飲みやすいかもしれないから」

「あ、ありがとうございます」


南野くんをちらっと見たけど、幽助くんと何か話してる。


これ、なんだろう…。

いい匂いする。
静流さんが飲みやすいってすすめてくれたんだから大丈夫だよね…。



一口ゆっくり飲むと、甘くて美味しい。

これでお酒なんだー。
これなら飲めるよ。



一杯飲み終わったころ、南野くんが隣に座った。

「河嶋さん、もしかしてこれ飲んだの?」


南野くんが目を丸くして言った。


「うん、しずるさんがね、のみやすいからって…。
えへへーおいしかったれすよー」


なんか上手く喋れなくて、だんだんおかしくなってきた。


たのしー!!
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