妄想小説 長編 2

□霊界からの依頼
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河嶋 香、16歳。
女子校に通う普通の女子高生。

……普通の。


普通だった…。


今、目の前に霊界からの使いが現れるまでは。



「…なんすか?」


「だからね、ちょっとだけ手伝ってほしいのよ」


青い髪の、ぼたんと名乗る女が私を説得している。


「手伝うって…何を?」


「悪者退治



可愛く笑って言ってるけど、言ってる意味がわからない。


「えーと…。おっしゃってる意味がわからないんですが」


「とにかく!お願いっ!ちょっと来てっ!!」



ぼたんに手を引っ張られ、身体が前のめりになる。

転ぶっ!


そう思った時、自分の身体が宙に浮いて飛んでいる。

「えっ」


慌てて下をみると、私の部屋の真ん中に私が倒れている。


「ちょっ…!!ねえ!ちょっと!ぼたんさん!?
あれ!あれ見て!!」


私の手を握るぼたんの手をバシバシ叩くが、ぼたんは「うんうん」なんて言いながら天井に突進していった。


「ちょっと!ぶつかー…」



…らなかった。



「あれ?」


気付けば私は自分の家の屋根の上を見ていた。

うちの屋根の上、こんなんだったんだ。

なんてどこか冷静に考えていたりした。



「ちょっと急ぐから、ちゃんと捕まってておくれよ」


ぼたんがそう言った次の瞬間。

「ひゃあっ!!」


でっかい掃除機に吸い込まれてんじゃないかっていうくらい強い力で引っ張られた。


「ちょっとー!!ひゃああぁぁ〜!!」


「もう少しだから!その声やめてー、おかしくって力抜ける〜」


「おかしいって何〜ひゃああぁ〜」


私の悲鳴にぼたんは笑いながら飛び続けた。
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