妄想小説 長編 2
□尾行と秘密
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「大変大変!!香!大変!」
コンパクトを開いたとたんにぼたんのあわてふためく声が響いた。
「ちょっ…何?」
「幽助達がもう出かけちまったんだよ!」
「はいー!?」
ぼたんの言葉に一瞬なんのことだかわからなかった。
…あ!
「ちょっと!マジで!?」
「うわ〜ん!ごめんよ〜!まさか桑原くんがあんなに張り切るとは思わなくてさあ」
「えー!?何だかわかんないけど、飛影追わなきゃでしょ!!
今飛影どこにいんの!?」
「あ〜ん、ごめ〜ん!
コンパクトでわかるようにしとくから!頼んだよ〜!」
そう言ってぼたんは通信を切った。
ったくもー!!
本当に霊界は適当なんだから!!
コンパクトの画面が変わり、地図と赤い光と青い光が点滅している。
「赤が飛影かな」
かなり遠くにいるみたいだ。
もう幽助達に追い付いちゃったかな。
「もー。ちょっとくらいゆっくりさせてよね」
そう呟いて、コンパクトを閉じてポケットに押し込んだ。
確か骨爛村。
…電車かな。
小さくため息をついて駅へと向かった。
電車とバスに揺られて数時間。
もう日が落ちてきている。
「早く帰れるといいんだけど」
そんな願いは叶うわけないことは、ここ数日の出来事からなんとなくわかっていた。