妄想小説 長編(完結)

□霊界探偵始動
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幽助が生き返った次の日。


「あーシャバってのはいいねえ!!生きてるって素晴らしい!」

幽助は早速街へと繰り出した。

「ちょっと、幽助待ってよ!」

私は相変わらず幽助の後をついていた。
一応今回は螢子に目を離すなって言われてるからだけど。
幽助はやや不機嫌そうだ。

「香、お前どこまでついてくるつもり?」

「螢子に言われてんだよ。幽助から目を離すなって。それに聞きたいことあるしさ」

「聞きたいこと?」

幽助はめんどくさそうに聞き返した。


「ちょっとそこの店入って聞くわ」

そう言って、幽助を半ば無理矢理喫茶店に連れ込んだ。



店の中央の席には、淵中の奴らが座っていた。

奴らは一斉にこっちを見る。

「あれ?香じゃねえか。それお前の男ー?」
奴らの一人が声をかける。何だこいつ。
幽助知らないのか?
あ、まだ死んでることになってるからな。
グラサンしてるし。


「関係ねーだろ」


それだけ言って奥の席に座った。


「あれ淵中の奴らだろ?なんか死んでる間に勢力伸ばされてんじゃねえの?」

幽助は小声で言った。
コーヒー2つ頼んでから、話した。

「悔しいけど、あんたが死んでからじわじわとね。
女の方はあんまり変わってないけどさ」


そう言うと、幽助はコーヒーをすすりながら、淵中の奴らを見た。
私は幽助の後ろの鏡に映ってる奴らを見た。



ん?

座ってる位置からすると、あいつが頭みたいだけど。何となく変な…。
うっすらと角みたいのが見えるような…。



「幽助…あれ…」

そう言いかけたとき。
奴らが口を開いた。

「桑原の奴本当にくんのかよ」


和ちゃん?


「ああ、あいつは俺に逆らえないからな。
来る途中に漫画ギってくるように言ってある」

頭の奴がタバコに火をつけて言った。


幽助を見るも、ないないと顔の前で手を振って見せる。
和ちゃんは万引きとかカツアゲの類いはやらない。
それを幽助も知っている。


その時、喫茶店のドアが開く。
和ちゃんがツレ達と入ってきた。

「永吉は無事か!?」


和ちゃんは血相を変えている。
淵中の頭が偉そうに和ちゃんに話しかける。

「それより約束のもんは?まずはそれからだ」

そう言うと和ちゃんは袋から雑誌を数冊出した。

まさか…!?

幽助と私は顔を見合わせた。



「ちょっとまてよ。このレシートは何だ?俺はギってこいって言ったはずだぜ?」


奴らの頭がレシートを見つけ、和ちゃんを睨んだ。


「物さえあれば、買おうがギろうが同じだろ!?早く!永吉に会わせろ!」


「わかってないな。俺は万引きのスリルを味わせてやりたかったんだぜ?
…土下座しろよ、約束破ってすみませんってよ」


和ちゃんのツレが怒鳴る。
「ふざけんな!さっさと永吉返せよ!!」

「お前ら!いいんだ!」

和ちゃんがツレを遮って、両手をついた。

もう見てらんない。


立ち上がり、奴らに近づく。

「和ちゃん!やめろよ!」
和ちゃんが驚いた顔してこっちを見る。

「香!?何で…」

「土下座なんてすんじゃねーよ!なんでこいつらの言いなりになってんだよ!」


そう言うと奴らは笑って、一匹の仔猫を見せつけた。
「あぁ!え、永吉ぃ!」


永吉って…猫のことだったのか…。
和ちゃん猫好きだもんな…。


「おい、香。和ちゃんの大事な猫助けたかったらこっちこいよ」

奴らの頭が偉そうに言う。にくったらしい顔しやがって。
私と和ちゃんのツレが奴らを睨む。


「まあいいよ。場所変えようぜ」



喫茶店を出て近くの空き地へ向かう。

ん?
幽助はどこ行った?

この大事な時に何やってんだ、あいつ。


幽助を探してキョロキョロしてると、和ちゃんが話しかける。

「香、お前は逃げろ。何されっかわかんねーぞ」

「何言ってんだよ。永吉助けたら万倍にして返してやんよ」

そう言って和ちゃんの腕を叩いた。
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