妄想小説 長編(完結)
□三人組の盗賊・剛鬼
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「あのちっさいガキが霊界のお偉いさんなんてね…」
あの後で幽助とぼたんに説明されたけど、最近の出来事考えたらそんなことくらいでは驚かない。
なんとなく腑に落ちないだけだ。
そして今、その盗賊とやらを捜しに街を幽助と歩いていた。
「三人組の特徴覚えたか?」
幽助が聞いてくる。
「当たり前。あんたよりは記憶力いいからね」
笑って言うと、幽助はそっぽ向いた。
「ったく相変わらずかわいくねーな」
「ってかさ、二手に別れて探そうよ」
そう言うと幽助は少し考えこむ。
「いや、だってお前先走るからよー…。うーん。じゃあ見つけたら一人で戦おうとすんじゃねえぞ!1回合流してからな!」
また人を女扱いしてんな。ま、女だけどさ。
でもそんなこと言ってられなくなる。
「幽助、今のうちに言っておくけど、いざというとき私のこと助けようとすんなよ?」
「私が死んでも、自分が生き残ること考えろよ。
…もう幽助が死んだりすんの見たくねえから」
そう言うと幽助は目を丸くした。
「たまには可愛いげのあること言うじゃねーか。
もうそんな目に合わせねえから安心しろよ」
そう言って背中をパンと叩いて笑った。
…答えになってない気がする。
「おい、香あれ…」
幽助がふと数メートル先を見て目配せをした。
その視線の先には三人組の男が歩いている。
ぼたんが言ってた特徴に似ている。
それに…
「あのでかい奴の頭…、角が見える…」
「…あれだな」
幽助と私は三人組の後を追った。