妄想小説 長編(完結)
□三人組の盗賊・蔵馬
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剛鬼を倒したあと、幽助と私はぼろぼろで、帰るだけでも一苦労だった。
「幽助ー…ちょっと待って…」
「早く帰って寝よーぜ…。マジで疲れた…」
家路を急ぐと、急に電子音が響く。
「妖気計に反応が!200、150…近いぞ!」
「えっちょっと、今はまずいって!!」
慌てる二人の前に、長髪の男が姿を見せる。
あの盗賊の一人だ。
幽助も私も少ないながらの力を振り絞って警戒する。
それを見透かしたかのように奴が口を開く。
「警戒しなくてもいいよ。俺は戦う気も逃げる気もない。」
?
「頼みがあるんだ…」
『頼み?』
家に帰ると、ぼたんが待っていた。
宝を取り戻したこと、盗賊の一人に会ったこと。
そして、3日待ってくれと頼まれたこと。
それを話すと、ぼたんが考えこむ。
「罠だと思うけどね。3日たったら宝を返すなんてさ。3日後なんて満月だろ?盗まれた暗黒鏡が力を発揮する日だよ!
願いを叶えるために何かをささげるんだけど…きっとなにかってのを3日で探る気なんだよ」
ぼたんが言うのももっともだ。
だけど…。
「なんかあいつは信じていいと思う」
私が呟くと、幽助も頷いた。
「ぼたんには言ってなかったけどよ、実はあいつら仲間割れしてたんだよ。
あの蔵馬って奴は抜けようとしてた」
「きっとなにか心境の変化でもあったんだよ。何となく、嘘ついてるような目じゃなかった。な?」
幽助が私にふった。
「うん…、私もそう思った。イイ男だったし」
「なんだそりゃ!?おめーあぁいうのがタイプだったんか?」
幽助がバカにしたようにつっかかる。
「う…うっせーな!あたしはもう疲れたから風呂入って寝るから!!」
幽助の部屋を出ると、ドアの向こうからぼたんが言った。
「香ちゃんの回りにはいないタイプだからねえー。
足元すくわれないといいけど…」
なんとなく気恥ずかしくなって、風呂場のドアを勢いよく閉めた。