妄想小説 長編(完結)

□妖魔街からの挑戦状
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「和ちゃん!久しぶり!」

幽助と久しぶりに登校中、和ちゃんを見つけた。

「おぅ、香。久しぶりだなー。何してたんだ!?」


「…聞かないで…」


あの後3週間、じーさんにみっちり修行させられて、昨日ようやく学校に行くって言って解放されたんだ。


「浦飯もあの後修行したんだろ?何してたんだ?」


幽助も顔色が悪くなる。

「思い出すのも嫌んなるぜ…。なんか死ぬ寸前まで霊気を使ってからの訓練とか、寝る時は針山の上とかよー」


「あーいい!いい!聞いてるだけで痛くなってきた」
和ちゃんが話を遮った。

幽助もだいたい同じことしてたんだな…。
確かにお互い結構強くなった気がする。

「でもよ、お前らが鍛えてる間によ、俺だって霊剣を自由に出したりできるようになったんだぜ」

和ちゃんがドヤ顔で見てくる。

「霊剣?」

「あ、香に言ってなかったな。こいつも幻海のトーナメント出てたんだよ。乱童にやられちまったけどな」


幽助が説明してくれた。
そうだったんだ。

「今戦えば勝ってるっつーの!」

和ちゃんの強気な発言の後、三人同時に後ろの気配に気がつく。

「何?」

「さあ?見ねー顔だな」

「どーする?」



三人で様子を伺っていると突然ナイフを出し切りかかってきた。


「んだあ?いきなり光モン出すなんてイカれてやがるぜ」


「ちっ仕方ねーな」


幽助はそう呟き、拳を構えた。


「ショットガン!!」


幽助の拳から散弾銃のように霊気が飛び出し、奴らを一撃で倒した。


「幽助、すごいじゃん」

「霊光波動拳の初歩だぜ」

幽助はにかっと笑ってみせた。
くっそー。
また強くなったんだなあーっ!



そこにいきなりぼたんが現れた。

「あんたたち、大変だよ」

『ぼたん!』


「何が大変なんだ?」

「あんたたちの倒した奴を見てごらん」

ぼたんが言うとおり、後ろで倒れている奴らを見る。

すると奴らの口から虫が出てくるのが見えた。

「げっ!何あれ!」


「魔回虫さ。人間の暗い心に巣食う虫だよ」


ぼたんがそう言いながら、ぷちっと虫を踏んづけた。

『魔回虫?』


「妖魔街の奴が持つ蟲笛で操られた虫だよ」

「妖魔街?何でそんな虫が?」


「妖魔街ってのは霊界が封じ込めてる妖怪の街さ。
妖魔街の奴らが結界を解くことを要求してきたんだ。霊界は勿論拒否したんだが、こうやって魔回虫を送りこみ、回収する代わりに結界を解くことを条件として突き付けてきたのさ」


なんかまた大変になってきたな…。

「じゃあ虫を殺せばいいんじゃないの?」

「それが数千匹ははなしたらしいんだ。しかも普通の人間には見えないからね。取りつかれたらただの狂った殺人鬼にしか見えないのさ」


まじかよ…。

「どーすりゃいいんだよ」

幽助が悔しそうな顔をする。
確かにこのままじゃ町が大変なことになる。


「奴らの蟲笛を壊すしかないね」


ってことは…。
行くしかないってことね。

「おいおい、んな隔離するよーな奴らの巣窟に俺ら二人だけで行くしかねーのかよ!?」

「そーだよ、修行したとは言え無茶だよっ」



二人でぼたんに不満を洩らすと、和ちゃんが肩を叩いた。

「おい、お前ら。俺を忘れてやしねーか?」


ん?
あ…。忘れてた。


「あら、やだよ、桑原くんいたのっ」

ぼたんが笑ってごまかす。

「町のピンチなら、男桑原!ほっとくわけにはいかねーぜ!」



数時間後、燃える和ちゃんを引き連れて、三人は妖魔街へと向かった。

無事に生きてかえれっかなー。
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