妄想小説 長編(完結)

□決闘!地獄団地
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「いでででで」


朝起きたときから、家では私と幽助の声が響いていた。

「…香もか…?」

「…うん…ちょーいってぇ…」


どうやら四聖獣との戦いでひどい筋肉痛らしい。
霊力もかなり落ちてるし。
最悪のコンディションだ。


「なあに?あんたたち。年寄りみたいじゃない」


ママが私達の様子を見て笑っている。
笑いごとじゃない。
今なら年寄りにだって負ける気がする。



二人で何とか登校すると、目の前で和ちゃんがゆっくり歩いているのが見えた。

「桑原さん、おはよーっす!」

ツレが和ちゃんの肩を叩くと、和ちゃんは悲鳴をあげていた。

「お、お、俺に触るんじゃねえっ!!」



「あいつも同じみてーだな…」

「だよねー…」





昼休み、屋上でお昼を食べていると和ちゃん達と幽助が来た。


「あれ?香ちゃんも来てたの?」

「まあね」

桐島の言葉に目だけ向ける。
痛くて動かせないから。

「なに?もしかして香ちゃんも筋肉痛なの?」

「いっ!いっだー!!触んなバカ!!」


桐島が肩を叩くと激痛が走った。

「あ、ごめん」


「いやーこんなんじゃしばらく大人しくしてるしかねえなあ」

幽助がタメ息をついた。

「いや、実はそうも言ってらんないんすよ」

沢村が話を切り出す。

どうやら私達が休んでる間に偽者が現れたらしい。

「淵中の奴らを手当たり次第にやってるみたいで、さりげなく二人だって匂わしてんすよ」

「偽造の学生証まで落としてくくらい手が込んでるんすよ。
あいつらバカだからかなり信じてるみてーっす」


「淵中の奴らうちの生徒も狙ってきてて、かなりヤバイんすよ」



桐島達は二人をじっと見つめる。

「っち!仕方ねえな…」


「じゃあ!やってくれるんすね!!」



『体が治ったらな』


二人の言葉に三人は肩を落とした。

「んなこと言ってる場合ですか!?」


「桐島ー。仕方ねえだろ、今はこいつら動けねえよ」

私がそう言うと、桐島が顔を近づける。


「香ちゃんだって変な噂流されてんだぜ!?」


「変な噂ー??」

「んー…なんか淵中の奴の男を寝盗ったとか、売りしてるとか」


桐島の話に幽助が笑った。

「処女にんなことできるわけねーだろ、ほっとけほっとけ!」


幽助目掛けて缶コーヒーを投げつけてやった。

「いっだ!」

「いってえな!」

投げる動きだけで痛い。
幽助も避けられずに頭にヒットしていた。


「ほら、見ての通りグダグダだからよ。
まあ治ったらソッコーやるからよ」



和ちゃんがそう言うと、桐島達は立ち上がった。

「三人がやらないなら、いざとなったら俺達だけでもやりますからね」



「…待て」


和ちゃんの言葉に桐島達が振り向く。

「やってくれるんすか!」


「いや」

「ちょっと起こしてくれ」

「立てないんだよ」



私達の言葉に桐島達は呆れていた。


「いでででで!もっとそっと引っ張ってよ!」

「…ほとんどバーさんだなあ」


「あぁ!?桐島覚えてろよ!?って!いってえ!」


隣では幽助も和ちゃんも同じ感じで大騒ぎしていた。
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