妄想小説 長編(完結)

□暗黒武術会開催
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「おっ!香来たな?」


「和ちゃん!久々ー!」

港で和ちゃん達を見つけ、駆け寄る。

「あれ、浦飯は?」

「え?まだ来てないの?」

辺りを見回すも姿は見えない。


「人の心配より自分の心配するんだな。ちょっとはマシになったのか?」


飛影が和ちゃんにたずねる。

「おうよ、蔵馬との秘密の特訓見せたかったぜ!」


蔵馬との秘密の特訓?
なにそれ。
和ちゃんずるい。


つい和ちゃんをにらんでしまう。


「ではこれより乗船していただきます」


髭のおやじが周りの妖怪たちに呼びかけた。


「ちょっと待ってくれよ!ゲストが一人遅れてんだよ!」


和ちゃんが髭のおやじに言うが、おやじは首を振った。


「その場合は逃走と見なして追っ手を差し向ける手筈になっとります」



んだよ、融通利かねえな。


「おーわりぃわりぃ」


その時、呑気に幽助が登場した。
遅いっつーの。


「おい」


幽助に飛影が近づくと、いきなり剣を抜いた。
飛影の剣捌きに幽助は紙一重でかわして、最後に指で剣先を止めた。


…は、早い。


「ふ、どこで何してきたか知らんがちょっとはできるようになったな」


飛影は簡単に言うけど。
なんか私も頑張ったんだけど、一気に凹むわ。

「くそー、目で追うのがやっとだぞぅ…」

「大丈夫。あの動きが見えてるなら君も十分成長している」

蔵馬が和ちゃんを慰めている。
…やっぱり和ちゃんずるい



ん?


「幽助、誰?」

幽助の横に一人小さい人がいる。

「ああ、なんか一人だけ補欠入れていいって言ってたからよ、来てもらった」


「こんなちっこくて大丈夫かよ〜…くしゃみしたらフランスまで飛んでっちまうぞ!!」


和ちゃんが驚いている。


「かまわん、俺と幽助だけでもいいくらいだ」


飛影はそう言って笑っていた。
…どんだけ幽助好きなんだよ。




船に乗り込むと、幽助はすぐに熟睡してしまった。


…こいつはよく寝るな。
でも実はあたしも眠い。

じーさんは、本当にいつ死ぬんだよってくらいタフで、あの時弟子に敵わないとか言ってたのもたぶん嘘っぱちだ。
毎日毎日修行に付き合ってもぴんぴんしてやがった。
私のが死にそうだったんだから。
でもそのおかげで強くなったけどさ。



「香、調子は?」


蔵馬が話しかける。


「蔵馬。うーん…まあまあかな」

「だいぶ修行したんだな。強くなったのわかるよ」


蔵馬の言葉にまた顔が赤くなりそうになった。


「あ…そ、そう?…うん、まあ、簡単には死なないと思うよ」


「頼もしいな」


蔵馬はそう言って笑った。

いくら修行しても、こいつのこの顔だけには弱いのは変わらないな。




「ではこれより、予選会を始めます!!」

急に髭のおやじがマイクで叫んだ。

予選会?
あたしたちゲストじゃないの?



船の中央からリングがせりだしてきた。

「各チームから一人出して、最後に残ったチームが試合に出場できます」



「一人って…幽助は寝てるしよ」

和ちゃんがそう言うと、あの小さい覆面が前に出ていった。


「面白い、奴がやるらしいぞ」

飛影が笑って言った。


「でもあいつがもし負けたらどーすんだよ」

「その時は俺たちで船の奴らを皆殺しにすればいいだけだ」


飛影はそう言って、腕組をしてリングを見つめた。


リングには数十人のでかい妖怪の前に、ちょこんと覆面が立った。

これは…。
あの展開になるよなあ…。


始めの合図と共に妖怪たちは一斉に覆面に襲いかかった。
やっぱりね。


しかし。
私達の心配なんて一発で吹き飛んだ。

覆面は幽助のショットガンと同じような技を繰り出し、あっというまに全ての妖怪を吹き飛ばしてしまったからだ。



「あ、あれは浦飯のショットガン…?」



和ちゃんは驚いている。
まさか…。
あの覆面って…。




「こうなりゃ皆殺しだ!!!」


妖怪たちは叫んで、急に私達に襲いかかった。


「予想通りの行動だな。準備運動にもならんが、じっとしてるよりはましか」

「同感」

飛影の言葉に蔵馬も頷く。

あたしはじっとして休んでたかったよー。


そうは思っても妖怪達は次々と襲ってくる。
まあ弱っちいから別に屁でもないけどさ。



あ!幽助!
あいつ寝てんじゃね!?


幽助を見ると、妖怪に囲まれている。
あいつ起きろよ!!


そう思った瞬間、幽助の拳が妖怪を吹っ飛ばした。


「うらあぁ!ばばあ!俺はまだやれるぞ!どちくしょうー!!!」


…あれ寝ぼけてんの?


「熟睡しても尚トレーニングするとは、よほど凄まじい特訓を強いられたとみえるな」


蔵馬も半分呆れ顔で言っている。
ばばあって…もしかして、やっぱり幻海師範?

…じーさんも来たがってたからな。ありうるかも。




何だかんだで、妖怪達をぶっ倒して、船は首括島へと向かった。


「どんな恐ろしい場所かわからんからな!ふんどし締めてかかんぜ、皆の衆!」


和ちゃんがやたら気合を入れて船頭に立っていた。


「蔵馬、あたしもちょっと寝るから着いたら起こしてー…」


そう言って、私は眠りについた。
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