妄想小説 長編(完結)

□Dr.イチガキチーム
1ページ/5ページ


「霊丸が撃てない?」


次の日、幽助が和ちゃんと私に報告してきた。

「ああ、やりすぎた時に力が落ちるのはあったけど、指先に力が集まんねえのは初めてだ」


「…昨日いきなり連射とかすっからじゃないの?」


「そうだよ」


私の言葉に後ろから覆面が言葉を挟んだ。


「連射は高等技術。霊気を操って半年足らずの初心者同然の奴が使える技じゃない」


あれ?

「おい!幻海師範じゃねえじゃねえか!」

「お、俺もバーサンだとばかり思ってた!!」

「ちょー若い人じゃんよ」


「完全に回復するまで霊丸はやめときな。
これ以上無理すると誰かみたいに腕が使いものにならなくなるよ」


覆面はそう言って、どこかに行ってしまった。


…だれかって…もしかして飛影のこと?
そう言えば昨日からどっか行っちゃってるし…。



…探しに行こうかな。


「香?」


「ちょっと探してくる」


そう言って幽助達と別れた。


…とは言っても飛影の行きそうな場所なんてわかんないしな。
…あっちに聞くか。

足を闘技場へと向けた。





「蔵馬」

「香、試合見に来たの?」

会場の屋根に立っている蔵馬に近づく。

「ううん、見たって私は作戦とか立てらんないし。
昨日やってないのが、ちょっと心配だけどね」


「じゃあ俺に会いに来たのかな?」


蔵馬がまたからかうように聞くけど、もうその手にはのらない。

「…まあ、半分当り。
飛影の場所知らない?」


「なんだ。飛影を探してたのか」

蔵馬はふっと笑った。

「んー…。あの腕、ちょっとまずいんじゃないかなあと思ってさ。
治せるかわかんないけど、何もしないっつーのも…」


「残念ながら飛影はどこにいるかわからないな。
腕は…確かに。しばらくは無理だろうな…」


蔵馬は少し難しい顔をして言った。
蔵馬がそう言うなら、やっぱり相当ひどいんだ。


…探してこよう。


そう思った時だった。

会場から歓声があがった。


「あれ…!…人間?」


リング上にはM-3号と呼ばれる男が妖怪を倒していた。


「ああ、間違いなく霊気。ゲスト以外で人間がでるとはな」


「…恐らく本人の意志で戦っているのではないのだろう」


蔵馬は真剣な目で彼らを見つめた。
…本人の意志ではない?
じゃあなんで…。



「あ、飛影!!」

あいつらも気になるけど、飛影のが大事でしょ。


「じゃ、あたし飛影探してくるから!」


蔵馬にそう言って、会場を後にした。








「飛影!!」


海岸でようやく飛影を見つけた。

「…なんだ」


「なんだじゃないよ。腕!大丈夫?見せて」


私がそう言っても飛影は表情を変えず、右手をポケットに突っ込んだまま黙っている。



「ねえ!」

「…うるさい女だ。なんでもないからほっとけ」



「なんでもないわけないだろ!いいからちょっと見せろって!!」



「ふん」


「あ!ちょっと!」


飛影は何処かに行ってしまった。
…やっぱり相当まずいんじゃないの?
あの態度。

んっとにもー…!!






「遅かったな」


部屋に戻ると幽助と和ちゃんと覆面しかいない。
やっぱり飛影、戻ってこないか…。
蔵馬もまだ戻ってないの?


「明日は流石におめーもやんなきゃいけなくなりそうだからよ、休んどけよ」


幽助がそう言って背中を叩いた。


「…やっぱりやんなきゃダメ?」


はーっとタメ息をついた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ