妄想小説 長編(完結)

□能力者との対峙
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「まじかよ…!!」


モニターが見えなかった和ちゃんに、説明すると和ちゃんは絶句した。


幻海師範は海藤の魂を戻しに行った。
魂の戻った海藤は、私達を見て計画が上手くいったことを知った。

「事情は大体聞いた。かなりインパクトの強い自己紹介だったな」


蔵馬の言葉に海藤は肩をすくめた。

「正直本気でやったよ。一度君に勝ってみたかったからね。
でも完敗だった」


三人はそれぞれ自己紹介をした。

城戸の能力は影。
柳沢の能力は模写。
海藤の能力は禁句。


三人とも1ヶ月前に能力に気がついたと言った。

「武術会が終わって間もないな」

「第二段階だとしたら…武術会終了直後か」


蔵馬と幽助が呟く。

「コエンマ。穴が広がりきるまで、だいたいどのくらいの猶予があるわけ?」


私の質問にコエンマは眉間にシワを寄せてうなった。
「……おそらく…3週間…といったところか」


3週間…。
長いとはいえないけど、早くもない。
やれるだけやるしかない。

「…よっしゃ!!蟲寄市だろ!?おい、オメーら地元だろ?案内しろ!」

幽助は立ち上がりドアへ向かった。

「幽助?どこ行くんだよ!?」


「決まってんだろ!?魔界の穴を広げてる奴をぶっとばしに行くんだよ!!」


…こいつは…!!

私が呆れていると代わりに幻海師範が幽助をぶん殴ってくれた。


「いってーな!!」

「お前には学習能力はないのか!なんのためにこんな芝居うったと思ってる!」


「時間がねーんだぞ!?こうしてる間にも穴は開いてるんだ!」

「まだ3週間ある!」


幻海師範の言葉に幽助が表情を変える。


「まずは敵を知ることだ。首謀者は誰か。敵は何人か。能力は何か。
それを調べなきゃならん」


確かに。
今回ばかりは勢いだけじゃやってけない。
…幽助の苦手なパターンだよね。


その時、ずっと黙っていた飛影が口を開いた。


「コエンマ。俺も貴様に聞きたいことがある」


飛影はモニターのコエンマに言った。


「今、俺は何級だ?霊界は俺を何級としている?」


…!?


「飛影!」

飛影の質問に蔵馬がたしなめるように言うが、飛影は続けた。


「答えろ!」



「…お前はB級の下位にランクされとる。
戸愚呂はB級の上位だ」



コエンマは少し考えた後、そう答えた。

「ち…。見くびられたもんだ」


「お前が幽助と会った頃はD級だった。わずか半年足らず。お前の格闘センスには驚かされるばかりだ」


「ふん、それでおだてたつもりか」


飛影はそう言って私達に背を向けた。


「飛影。どこ行くの?」


「…穴が広がればB級妖怪は自由に出入り出来るんだろう?願ったりだ。
後は勝手にやれ。
邪魔はしないが、手伝いもせん」


飛影はそう言って、部屋のドアを開けた。


「おい!!…オメー…それ本気で言ってんのかよ!」


和ちゃんが怒った顔で飛影を見つめた。

…和ちゃん。


「…ああ。俺は魔界に帰るぜ」


飛影はそう言ってドアを閉めた。


「飛影…」

「けっ!見損なったなんて思ってねーぞ!あいつは最初からあーゆう奴だったんだよ!」


和ちゃんが強がるように言った。

「来てくれるさ。俺達だけじゃどーしようもなくなったら」


幽助がそう言って笑った。

「彼も戸惑っているんですよ。魔界が近くなった影響は人間だけに起きてるわけじゃない」


蔵馬が言った。


「でも、今は飛影には大人しくしてもらってた方がいいよ。
あいつがじっくり調べるなんてできっこないもん」


まあ、幽助もだけどね。

私の言葉に幻海師範は頷いた。


「そうだな。
とりあえず、行動を起こすのは明後日からだ。
それまで単独行動は避けるように」



幻海師範の言葉に、みんな頷いた。
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