妄想小説 短編
□一方通行 番外編
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「あー楽しかった!」
螢子は温泉に浸かりながら言った。
みんな頷いて、にこにこしている。
「本当、楽しかったなあ」
雪菜ちゃんも本当に楽しそうに笑った。
「明日帰りたくないねー」
香が呟く。
「てか、香、本当に蔵馬くんと同じ部屋じゃなくていいの?」
静流さんがニヤニヤしながら聞いた。
「静流さん〜…。もうそうゆうのいいってー」
香はお湯に顔を半分潜らせた。
「そうだよ〜静流さん。初めてはちゃんと二人きりの旅行とかさ、その時にとっとくもんだよぉ」
ぼたんがフォローを入れてくれるが、逆効果だ。
「もー!まだそんなんじゃないってばー!!」
香が顔を赤くして、ぼたんにお湯をかける。
「でも、お二人はもう恋人同士なんですから。恥ずかしがることないですよ」
雪菜ちゃんが意外にも大胆発言をかました。
キャーキャー騒いでいると、男湯の方から声が聞こえた。
「おーい、上がったらバーベキューすっからな!!」
見ると幽助が覗きながらいっている。
「おっ!絶景だな〜」
そう言ってにかっと笑った瞬間。
螢子の右手から桶が野球選手並みの速さで投げられていた。
カコーンと間抜けな音と共に、幽助の姿が消えた。
「ったく油断も隙もない」
螢子が平然とお湯に浸かり直して言った。
さすが螢子…。
頼りになるな…。