妄想小説 短編

□一方通行 裏番外編
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静かに唇が離れると、蔵馬は優しく香を抱き締めた。


香は全身が心臓になってしまったかのようにドキドキが響いていた。


そんな香に蔵馬はおでこにキスをして、優しく頭を撫でた。


「じゃあ、寝ましょうか」


「は、はいっ」

また声が裏返る。



「おいで」


当然のように、蔵馬は一つの布団に香を招き入れる。

香もゆっくり、布団に入る。



蔵馬の腕に包まれて、香の胸はどんどん早鐘を打っていた。



蔵馬は布団の中で、そっとキスをした。



「香、好きです」


その言葉に香も答える。


「私も…、好き…です」

香は顔が赤くなるのがわかった。
月明かりの頼りない光でも、それが蔵馬にばれてしまいそうで、恥ずかしくて、顔を蔵馬の胸に埋める。


蔵馬は少し強く香を抱き締めた。

香は蔵馬の鼓動を感じた。

蔵馬もドキドキしてる。

それを知ると、蔵馬を更にいとおしく感じた。

蔵馬の胸元の浴衣をきゅっと掴む。



「香…。嫌だったらちゃんと言ってくださいね」

そう言うと、蔵馬は香に唇を重ねた。
それは今までの優しいキスとは違って、香を求めるような激しく情熱的なキスだった。

香は蔵馬を受け入れた。
手を蔵馬の首に絡ませ、それを蔵馬に伝えた。

蔵馬もそれに答えるように、香を抱き締めた。


舌が絡む度に、香は頭が痺れるような感覚を覚えた。
顔が赤くなっているのはもう恥ずかしさからではない。
身体中が熱を持っているのがわかる。


蔵馬は左手を下にずらす。
香の身体がびくっと跳ねる。
浴衣の上から優しく触れ、形を確かめるように指が動く。
そして、浴衣の胸元から手を入れ、香の肌に触れる。

恥ずかしいっ…

そう言いたくても口は蔵馬に塞がれている。
香は両手で蔵馬の肩に力を入れて僅かな抵抗をする。

それでも蔵馬の手は香の胸の上から離れなかった。
その手が中心の突起に触れた時、再び香の身体が跳ねた。
香はズキズキと痺れるような初めての感覚に、それが快感なのかどうかわからなかった。


蔵馬の手が胸から離れる。
そしてゆっくりと浴衣の帯をほどいていく。


なんか慣れてる…

そう思うほどに、蔵馬の手は器用に動いた。
スルスルと帯を外し、再び胸元に手が延びる。



蔵馬はようやく唇を離した。

香は大きく息をする。
夢中になりすぎてまともに息をしていなかったことに気づく。

蔵馬はそれを見て、ふっと笑った。

「大丈夫?」


久しぶりに蔵馬の声を聞いたような気がした。



「わ…わかんない…」


そう言うのがやっとだった。


蔵馬はまたふっと笑って、耳にキスをした。

「かわいい」

そう言うと、耳たぶを唇で挟んだ。


「やっ」

香はまたびくっと跳ねる。
今度は口が自由なせいで、声が漏れる。

その自分の声に驚く。
そして慌てて口をつぐむ。

蔵馬は香の耳にキスを繰り返す。
つつくような優しいキスや、下から舐めあげたり、軽く噛んだり、愛撫を繰り返す。

その度に香は声を抑えるので精一杯だった。

蔵馬が耳から少し離れ、香の首筋に唇が触れた。
鎖骨の辺りから耳の裏側まで、優しく舌を這わすと、香がこらえきれず小さく声を漏らした。


香は慌てて口を抑える。

蔵馬はそのまま耳元で囁く。

「声、我慢しないで聞かせてください」


その言葉に香は顔を赤くする。

「やだぁ…恥ずかしっ…」

そう言ったが、一度外れてしまったものはなかなか戻らない。


蔵馬の唇が香に触れるたびに、香は小さく声を漏らした。


そして再び、蔵馬の手が胸にのびる。
鎖骨からそっとなぞるように、胸の突起に触れた。

「あっ…!」


その瞬間、香は声をあげてしまった。
恥ずかしさで、もう目を開けられなかった。
蔵馬がどんな顔してるかもわからない。

それでも蔵馬の手は、優しく、時に強く香の胸に触れた。
そして唇が胸に向かう。


香は身体に力を入れる。
それでも唇がそこに触れた時、身体が弾む。
舌で舐めあげたり、軽く歯をたてたりされるたびに、香はつい声をあげてしまった。



そんな香に蔵馬は時々、かわいいよと優しく囁いた。
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