妄想小説 長編 2

□最初の指令!!
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そう叫んで無我夢中で繰り出した右ストレートが。

あの変な奴の顔面にきれいに決まったようだった。



数メートルくらい吹っ飛んだ小さい何かは、倒れたまま動かなくなってしまった。


「おおー」


幽助くんと桑原くんは私の右ストレートにパチパチと手を叩き、感心しているようだった。


「…いやいや、それほどでも…あは」


ちょっと嬉しくて頭を掻いて二人に愛想笑いを見せた。



「あ!香!後ろ!」

幽助くんは小さい何かを倒しながら私の後ろを指差した。


「へっ?」


振り返った時にはもうすぐそこに変な何かが迫ってきていた。


「ひゃあああっ!!」



やられるっ!!


そう思って頭を隠して身構える。




……。


あれ?



予想していた痛みが無くて、ゆっくり顔をあげてみた。


「こんな奴等に手間取っているようじゃいつまでたっても城には着かないぞ」




そう言って、突然現れた二人の男はマントをとった。


「手を貸そうか?」



「蔵馬!飛影!」


幽助くんは嬉しそうに二人の名前を呼んだ。


「誰?」
「さあ…?」


私と桑原くんはこそこそ様子を伺った。


「どーしたんだよ、おめーら!」

「君たちに協力することで免罪も考慮してくれるそうだ」

「おお!コエンマも粋なことするじゃねえか!」


幽助くんと謎の男たちは楽しげに会話をしている。


「おいおい、浦飯!
なんだってーんだ?」

桑原くんが幽助くんに聞きにいってくれた。

「おぉ、わりわり。
蔵馬と飛影だ。頼りになる助っ人だぜ?」

「よろしく」


助っ人?


「よーし!心強いぜ!
じゃあ行くか!!」


「ちょっと待ったあ!!」


ノリノリで城に向かおうとする幽助くんの襟を思いきり引き寄せた。


「なっ…なんだよ香…」
「助っ人いるんじゃん」


「へ?」


「だから!二人も助っ人いるなら私はいらないんじゃないんですか!?」

「おっおまっ…まだ納得してなかったのかよ?しつけーな!」

「ああ!?
だいたいあんたたちが勘違いして連れてきたんだからね!助っ人いるんじゃん!私いらないじゃん!
だいたい私みたいにか弱い女の子に何させるつもりよ!
悪者退治は男の仕事でしょ!
仮面ライダーだってウルトラマンだって男の仕事でしょ!!」


「知らねーよ!コエンマに言え!コエンマに!
ゴレンジャーはピンクとかいるじゃねえか!
男だけじゃねえ!!」

「んなことどーでもいいの!!」

「オメーが言ったんだろうが!!」


幽助くんの…、幽助のバカの襟をがくがく揺すって文句を言っていると。


「おーい、早く行こうぜー」


桑原くんが…、桑原のヤローがさっさと先に進んで行ってしまった。



「あっ!こら!」

「わかってるよ!ちゃんとオメーは守ってやるから!
とりあえず付き合ってくれよ。
オメーも一応霊界探偵になっちゃったわけだしよ」



幽助はそう言って、三人の後に続いて行ってしまった。


むー…。


納得いかない。

でも、ここから一人じゃ帰れないし。


ぶんむくれてても置いてかれちゃうし。


仕方ない。


「なんかあったら責任とってもらうからね」


一人呟いて四人の後に続いた。



…ときだった。
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