妄想小説 長編(完結)

□死んだら驚いた
2ページ/6ページ

校門まで幽助が来ると、香が竹中に捕まっているのが見えた。


「お前は女の子なんだから煙草はやめろと何回言ったらわかるんだ!?」

「うっせーなあ!」

二人が言い合いしている隙に幽助はこっそり校門を出る。

香は
「ちょっと!竹中!あいつも!幽助ー!一人で逃げんな!!」
と叫ぶが、幽助はさっさと行ってしまった。


遠くで香の怒鳴り声と竹中の拳骨をくらったのだろう。
「いってぇなー!!」
と叫んでるのが聞こえた。


香サンキュー。


そう思いながら家路についた。


家には二人の母親、温子がいた。
ついさっきまで寝ていたようだった。

「コーヒーいれてよ」

幽助は寝起きの温子にコーヒーをいれる。

「あんたまたふけてきたの?行かない学校ならやめちまいな。学費だってタダじゃないんだよ?
あたしがあんたくらいの時は学費は自分で稼いだもんだよ」

寝起きで機嫌の悪い温子は幽助に小言を言う。

どいつもこいつも説教たれやがって。

イラついて家を飛び出す。

飛び出したはいいが、この辺の店はだいたい出入り禁止だ。
万引きはだいたい幽助ってことになっている。


「ほとんど俺だろーけど、香だってやってんぜ」


商店街の雰囲気に更に幽助の機嫌は悪くなっていた。

そこにいつものあいつが来たんだ。

「浦飯ーっ!今日こそはお前に勝つぞー!勝負だこのやろー!!!」


桑原が幽助の前に立ちはだかる。


「俺いま機嫌わりいから、死ぬまで殴るぞ」


幽助は不敵な笑みを浮かべて桑原に言った。


数分後、ぼこぼこになった桑原がそこにいた。


「あースッとした」

幽助は満足気にその場を立ち去ろうとしたとき。

「あっ!幽助!」

後ろから香の声がした。

「あんた、一人で逃げるなんて!かわいい妹を助けようとかねえのかよ!?」

香は幽助に向かってカバンを投げつけた。

「知るかよ!ってか誰がかわいい妹だっつーの!?」

そう言いつつも、幽助は香には手は出さない。
急いでその場から逃げた。

香はぼこぼこにされた桑原に気がつく。

「和ちゃん、またやられたの?もう幽助に挑むのやめなよ」

タメ息をついて、桑原にハンカチを渡した。

「うっせえ。俺は今まで誰にも負けたこたあねえんだよ。あいつに負けっぱなしじゃ男がすたる!」

「和ちゃん、あたしにすら勝てないじゃない」

「俺は女は殴らん!」

「あーはいはい」


香は呆れてその場を離れた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ