妄想小説 長編(完結)

□三人組の盗賊・飛影
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廃工場の前に着くと、すでに幽助がいた。



「香。お前のとこにも来たか?」


「うん、女をさらったって…」


「宝と引き替えに返すっつってたが…。くそっ!行くしかねえっ!」


螢子のこととなると幽助は冷静になれないからな。
でも、螢子を使うなんて。

あたしだって我慢ならないよ。


その時、工場から沢山の人が現れた。



「雑魚に用はねえーっ!!!」


幽助はあっと言う間に奴らをぶっ飛ばした。
倒れた奴らからは妖気を感じない。

「幽助!こいつら人間だよ!…操られてるみたい」


「人間〜?知るか!行くぞ!!」



工場の奥へ進むと、盗賊の一人がいた。
ぼたんの話によると、こいつが飛影か。

額にもう1つ目がある。

なんだ、あの目?



「螢子!!」



幽助の言葉に、飛影の後ろに螢子がいることに気がつく。
螢子は気絶しているのか、ぐったりとしている。
見た感じ怪我はしていないようだ。



「おい!てめー!螢子返しやがれ!」


「俺のこの目を見ても平常でいられるとはな。霊界が差し向けるだけのことはあるな」



「うっせー!宝は渡す!だからさっさと螢子返しやがれ!!」


幽助が宝を取り出し、声を荒くする。
飛影はにやりと笑い、いいだろうと言った。



離れた場所に宝を置き、飛影も螢子を同様にした。

ゆっくりと螢子に近づく。飛影が何かをする様子はない。



螢子を抱き抱え、無事を確認する。
飛影も宝を手にして笑った。

「これで宝は全て俺のものだ。始めから隙を見て二人を殺して手に入れるつもりだったがな。手間が省けたぜ」



飛影の言葉に幽助は笑う。

「俺のものだあ?オメーもおめでてーやつだな!螢子さえ無事ならまた宝を取り戻すだけだっつーの!」

言うが早いか、幽助は飛影に飛びかかった。
その瞬間、飛影は姿を消した。

「き、消えた!?」


すると幽助の背後に飛影が現れた。


「消えた?ゆっくり避けただけだぜ?」


あ、あのスピード…。
全然見えなかった…。

呆然とする私達に飛影は笑って続けた。

「おめでたいのはお前らの方だ!俺が女に何もせずに返すと思うか?
女の額を見てみろ!」


飛影の言葉に慌てて螢子の額を見る。

「傷が!…いや、目?目が開こうとしてる!?」



「その目が完全に開くとき、その女は妖怪の仲間入りだ!」



やばい!!

確か…!!!


急いで螢子の傷に霊気を集中させる。
確か妖気を抑える心霊術。

結構キツイんだ、これ…。


「香!」


「ほぉ…妖化を抑える術は高等技術だぞ?
数日前に会った時には、そんなことできるような奴だとは思わなかったな」


飛影が感心したように話す。

「だが、お前の霊力じゃ時間の問題だ!」


悔しいけど、奴の言う通りだ。


「ゆっ幽助!
螢子はあたしが頑張るから…!早く奴を倒せ!!」


その言葉の直後、飛影が吹っ飛ぶのが横目に見えた。


「てめーは許さねえ」



幽助はゆっくり飛影に近づいた。
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