妄想小説 番外編
□ふたりがふたりで
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「お!蔵馬!!今日も来てくれたのかよ!暇で仕方ねえからよ、助かるぜ!」
病室のドアを開けた蔵馬の姿を見て、桑原は笑顔で言った。
そしてその笑顔は蔵馬の背後から顔を出した幽助を見ると、一気に微妙な表情に変わった。
「…浦飯がくるなんて…。嫌な予感がするな」
桑原の持ち前の勘の良さなのか、二人の歴史のせいかはわからないが、桑原の予感は的中することとなる。
「よぉ!すっかり話せるようになったんだな!」
幽助はそう言って、桑原のベッドに腰を掛けた。
「…ま、まあな。手術から三日でやっと声が出せるようになったんだよ。
出せない時は辛かったなあー!」
桑原はそう言って、ベッドの背もたれに寄り掛かった。
幽助がにやっと笑う。
「そーじゃねえだろ。
あの屋上の女の子と、だろーが」
幽助の言葉に、桑原は固まった。
「…し…知ってたのか…」
「照れんなって!名前は?どっちから声かけたんだよ〜?全部話してもらうからなっ!」
桑原とは対称的に、心底楽しそうに幽助は言った。
蔵馬は二人を見ながら、我関せずのように装っているが、内心おもしろくて仕方がなかった。
「さ、話してもらおうか?彼女はお前のどこが好きだって?」
幽助の言葉に、桑原は顔を少し赤くしたあと、タメ息をついて、ポツリポツリと話始めた。