ある日、テレビでチョコフォンドゥがやっていて時任がじっと見ていた。
甘い匂いに起こされた、そんな朝。っていっても12時なんだけど。朝帰ってきて、珍しく寝室で寝ていた時任の隣で沈むように寝たのが6時くらい。正直言うと眠たくて仕方がない。
だけど、どこか心地のいい甘い匂いとカチャカチャという音に自然と目が覚めた。
隣にいたはずの時任は勿論いなくて。
一度目が覚めると寝れないとこういう時には痛い。寝不足の目を擦り、立ち上がる。
向かうは匂いの元。
開いた扉の先からは甘い、甘いチョコレートの匂いがリビングを包んでいる。
時任はというとカチャカチャ音を立てながら作業をしていた。俺に気づく様子なんてなくて。
時任が何かを切っている、それはわかったけど肝心のチョコレートが見当たらなくて
「ときとー、おはよ」
俺の声にやっと俺のことに気づいたらしい時任。
「久保ちゃん、起きるのはやいっつの」
なんて言いつつもバレてしまったものは仕方がないと言った様子で作業を続ける時任。俺が居ないときか寝てる間に買い出しに行ったのだろう見覚えのない袋がある。
「なぁに、バレたくなかったの?」
「折角隠してやってたのによ」
時任の横に立ってみれば、上手くなった包丁さばきに拍手が出た。綺麗に切られた色とりどりのフルーツに小さなパンやマシュマロなど、それはもうパーティーの準備かってくらいに用意されていた。
その隣にしっかり湯せんされているチョコレートがあった。
「こないだテレビでやってて、うまそうだっから」
なんて言いながらも頬は軽く紅くなっていて、思わず笑ってしまった。
「素直にバレンタインだから、って言えばいいのに」
「ッ…!バレンタインは女が男に渡すもんなんだろ!俺は男だっつの!」
「いや、恋人同士なら男女関係ないんじゃない?」
俺の言葉に時任はまた紅くなって、作業の続きをし始める。といってももうほぼできているのだろうチョコレートを容器に移してフルーツなどがお皿に盛られていく。
いい具合に溶けたチョコレートが未だ匂いを漂わせている。
指で掬って味見をすると、あぁこいつは本当に俺のことを分かっているね。
「ときとー、」
「んだよ!久保ちゃんは座っとけって!」
「やーだ、バレンタインね。これも嬉しいんだけど」
またチョコを掬って今度は時任の唇に付けてやる。あぁ、すごくエロい。
「俺はこっちが欲しいかな」
何も言わさず、唇を重ねてやる。
「…甘いね、」
瞬間、時任からのストレートが俺の頬に入った。痛いのなんのその。
「つまみ食いすんな!」
そっちね、案の定顔は真っ赤。
「ごめん、あまりにも美味しそうだっから」
なんて、誉めてやればこいつは
「だろ!俺が作ったから美味しいのは当たり前だっつの!」
さっきの甘い雰囲気なんてなかったことになったよね、完全に。
「久保ちゃん早く食おうぜ!」
「そうね、」
あれ、これはもしかして来月俺もなにか作らなきゃいけないフラグ、かな。
*
なんて感じでお粗末さまでした。
バレンタイン今回は初めて作りましたよ〜楽しかった!バイト先の人らにあげたね←迷惑
去年は兄貴から地球チョコをもらいましたねー懐かしい(笑)
なんて感じで一日遅れのハッピーバレンタイン!皆さんよい日を(笑)