薄桜鬼・妄想小説 long story
□永倉新八【想い人〜すれ違い〜】
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ふすまを閉めると、ふぅ〜、とため息をつき、私の方を見る
「大丈夫か?」
「あ、あい…」
「ん、そっか」
そして、私の肩から腕を外し、部屋の窓から外をうかがう
「…もうしばらくはここにいた方がいいだろうなぁ。まぁ、もうちょっかいかけてくることはねぇだろうが、念のためにな」
そんな彼を前に、私はその場で膝を折り、三つ指を揃え畳に立て、姿勢をただし、真っ直ぐ彼を見据えた
「さきほどは助けていただき、ほんにありがとうおざんした。そいで、ご迷惑をおかけして、申し訳ないことでおざんした。このような場所で、あのような事態に巻き込んでしまいんしたこと、深くお詫び申し上げんす。もしこの後、あの男が、ぬし様に何か言ってくるようなことがありんしたら……」
「っだーー!!いい、いい!!そんなかしこまんなくたって!!そうゆうの、苦手なんだよなぁ。しかも、別に大したことじゃねぇしよ。」
そういいながら、私の前に胡坐をかき、ニカッと笑いながら
「困った時は、お互い様じゃねぇか!」
そんな言葉を自然に口にする彼
この時代、自分のことだけでも精一杯で、他人のことまで構ってられないのが現状で…
ましてや、もめ事に首を突っ込むなんて、もってのほか
それで殺されてしまうことなんて、当たり前な世の中だから
だから、彼の発言には少々ビックリしたが、先程の行動を見る限りでも、そうとう腕に自信があるのか…
そして、ポンっと私の頭にその大きな手を置き、優しい笑みを浮かべ
「あんたが無事でよかった」
と…
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