薄桜鬼・妄想小説 long story
□原田左之助【恋情】
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―――あれからもう、3年の月日が流れた…
あなたとよく来たこの場所に、また足を運んでしまう
あなたの好きだった桜の木が、今宵もとても綺麗に咲き乱れています
あなたも見ていますか?
あなたの好きだったしゃぼん玉…
壊さないように…上へ上へと昇っていくように…
何度も何度も息を吹き込める
あなたに届いていますか?
でもね、やっぱり私は好きにはなれません…
枯れないで…消えないで…と、どんなに願っても…
桜もしゃぼん玉も、その輝きは一瞬で、すぐに散ってしまうから…
まるで…あなたのように…
あの日、私の目の前で、さっきまで笑っていた顔が、みるみる赤く染まり、命の灯は一瞬のうちに消えていった…
あなたがいなくなってからも、あなたの温もりをずっと感じていたのに、季節が過ぎ去るごとに、だんだんとその感触が薄れていってしまう…
あなたの声も…
あなたの唇の感触も…
あなたの熱い肌のぬくもりも…
あなたを感じることができなくなっていく私は、これからどうしたらいいですか?
その記憶にすがって今まで過ごしてきたのに、それがなくなってしまったら、どう生きていけばいいの?
桜のように…しゃぼん玉のように…
今すぐ私も散ってしまいたい…
そんなことを考えてしまったら、あなたはきっと、怒るでしょうね
でも、私が誰よりも寂しがり屋だって、知ってるでしょう?
あなたがいなきゃ、なにも出来ないって、知ってるでしょう?
お願いだから、もう一度抱きしめて…
「大丈夫だよ」と、その笑顔を私に見せて…
真夜中の桜の木の下で、しゃぼん玉を吹けば、あなたが現れるんじゃないか…
なんて、そんな馬鹿げたことを考える私を、あなたは笑ってますか?
わかってるよ…
そんなことをしても、もう二度と、あなたに会うことは叶わないと…
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